1994 Fiscal Year Annual Research Report
大規模カルデラ火山のマグマ系進化の岩石学的・地球化学的解明
Project/Area Number |
05640523
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中川 光弘 北海道大学, 理学部, 助手 (50217684)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井田 清信 北海道大学, 理学部, 助教授 (30111149)
|
Keywords | カルデラ火山 / 後カルデラ火山 / 大規模珪長質マグマ / マグマ混合 / 島弧マグマ |
Research Abstract |
今年度は特に,洞爺・支笏カルデラのカルデラ形成期噴出物の岩石学検討を行い,カルデラ形成期のマグマ系の復元およびカルデラ形成機構の考察を行い,前年度までの検討による後カルデラ火山と併せて,島弧におけるカルデラ火山のマグマ系の特徴を議論した。また前年度までの成果(島弧火山の広域変化・カルデラ火山の活動年代等)を学術誌に公表した。今年度の成果は以下のとうりである。 1.カルデラ形成期:(1)マグマの組成多様性には,マグマ混合プロセスが支配的であるが、複数のマグマ混合トレンドが認められる。それらが同一層準に混在しての認められることから,カルデラ形成期に,複数の独立したマグマ溜まりから一斉・同時噴火が起こったと考えられる。 (2)カルデラ形成時に存在した複数の珪長質マグマは,それぞれが独立に下部地殻の部分溶融で発生した。またそれとは別に,マントル起源の玄武岩質マグマが存在していた。 (3)この複数マグマ溜まりの一斉噴火は,プリニ-式噴火から火砕流への移行,あるいは大規模カルデラ形成機構として重要である。 2.後カルデラ期:(1)後カルデラ火山群でも,珪長質マグマと玄武岩質マグマのバイモーダルなマグマが存在し,それらの間のマグマ混合が主要なプロセスである。 (2)特に玄武岩質マグマには,島弧横断方向の火山岩化学組成の水平変化が認められる。 3.島弧におけるカルデラ火山:活動を通じてのマグマの噴出量・温度・定置深度の変化に着目すると,カルデラ火山においても,島弧成層火山で想定されているダイアビルモデル,深部(マントル)からの熱源の上昇・下降と下部地殻との相互作用,で説明可能である。つまり,大規模カルデラが生じるかどうかは,大量の珪長質マグマが生じるような下部地殻であるか否か,あるいは大型のマグマ溜まりが形成されるような応力場であるかどうかによると考えられる。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 中川 光弘: "北海道第四紀火山の分布と主成分化学組成の広域変化" 火山. 40(印刷中). (1995)
-
[Publications] 中川 光弘: "後支笏カルデラ,恵庭火山の最新の噴火活動" 火山. 39. 237-241 (1994)
-
[Publications] 中川 光弘: "日本海,Leg127,128コア中の火山灰層" 月刊地球. 16. 691-698 (1994)
-
[Publications] 後藤 芳彦: "北海道北部の中新世火山活動の活動場:K-Ar年代と主成分化学組成からの推定" 岩鉱. 90(印刷中). (1995)
-
[Publications] 広瀬 亘: "北海道東部,屈斜路カルデラ地域の新生代火山岩類のK-Ar年代と第四紀火山活動史" 地質学雑誌. 101. 99-102 (1995)
-
[Publications] 石塚 吉浩: "北海道北部,利尻火山のデイサイト質溶岩ドーム群のK-Ar年代" 岩鉱. 89. 360-364 (1994)