1993 Fiscal Year Annual Research Report
変成岩中の流体移動に関する微細同位体地球化学的研究
Project/Area Number |
05640549
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
和田 秀樹 静岡大学, 理学部, 助教授 (20126791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 俊明 静岡大学, 理学部, 助教授 (30126164)
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Keywords | 炭素同位体比 / 酸素同位体比 / 変成流体 / 同位体累帯構造 / 晶質石灰岩 / 変成作用 |
Research Abstract |
5年度の研究によって、飛騨変成帯の複変成作用を被った石灰岩の微細同位体分析を中心に分析を行なった。つまり、岐阜県宮川村の打保岩体の周辺部において石灰岩と花こう岩との接触部において方解石の微細な同位体比の分析を行なった結果、変成流体と石灰岩との反応フロント付近において、同位体比の変化は珪素やカルシウムの動きよりさらに早いこと、また方解石の結晶粒界の役割がこの飛騨変成岩に於いては重要な役割をしていること、また、結晶粒界に影響を与えた同位体的な影響は、酸素について大きく炭素については酸素の2分の1以下の影響の有った事が明らかにされた。これは、USA Adirondack山地の似た変成岩地帯の結果と比べるときわめて対照的であった。すなわち、USA Adirondackでは、粒界が同位体に対して殆ど結晶と同じ性格をしているが、飛騨の場合は結晶内部と粒界は全く異なった役割をしている事が明らかになった。インドの石墨の分析結果によれば、同位体の累帯構造が明らかになり、流体と石墨の結晶化との関係に全く新たな制約を与える事がわかった。 上記の研究経過から明かのように、当初に計画された同位体の微小分析によって、今まで全く知られていなかった、変成流体の岩石中の結晶内部における移動経路が、変成作用の圧力条件によって全く違う事が明らかにされた。すなわち、天然における結晶粒界の役割が地球の深部の深さによっても大きく変わることがはっきりしたことは、本研究の主要目的の最も基本に関わる問題の一歩が大きく進展したことを示す。本研究の、微小部分の同位体分析の大きな成果という事ができる。研究の方法については、同位体研究の従来のどの方法より精密な議論が可能となった。今後は、同位体と、その他の元素の挙動とがどのような関係にあるのか、それは、元素のどのような性質が天然における流体と岩石との反応で重要であるのかといった問題が新たに生ずることになったと考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Santosh & H.WADA: "Microscale isotopic zonation in graphite crystals:Evidence for channelle,CO_2 influx in granulites" Earth and Planetary Science Letters. 119. 19-26 (1993)
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[Publications] M.Santosh & H.Wada: "A carbon isotope study of graphites from the Kerala Khondalite Belt,Southern India:Evidence for CO_2 infiltration in granulites" Journal of Geology. 101. 643-651 (1993)