1993 Fiscal Year Annual Research Report
東北日本第三紀火山岩による島孤マントルの進化に関する地域化学
Project/Area Number |
05640554
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
能田 戒 京都産業大学, 教養部, 教授 (30065841)
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Keywords | 東北日本孤 / Sr_1Nd同位体地質学 / 火山前線 / 沈み込むスラブ / クサビ状マントル / 脱水分解 / カムチャッカ |
Research Abstract |
これまでに東北日本孤の新第三紀火山活動の変動史および伊豆やサンギヘ孤第四紀火山岩をSr_1Nd同位体地質学から検討を加えてきた結果、いくつかの法則性を確認してきた。今回新たにカムチャッカ孤の第四紀火山を分析する機会を得た。ここでは3列の火山列が識別されている。これまでの他の島孤において確立してきた法則性、すなわち半径のち火山前線第一列目の火山マグマは、沈み込むスラブに含まれる角閃石相の脱水分解作用によって供給される水の存在が、クサビ状マントルの融点を低下せしめ、マグマの発生を促進した。またこの水にはイオン半径の大きな親石元素を含んでいて、それらがマグマに供給されると考えた。またそれに伴い、Sr_1Nd同位体組成も一定の変化を示すことが確認されていた。こんかいのカムチャッカ孤の微量元素の分析結果も、上述の見解を支持するものであった。しかるにSr_1Nd同位体組成は第一列から第三列まで総て同一の値を示し、しかもそれらは中央海嶺玄武岩に匹敵するものであった。このような結果は我々の予想を完全に裏切るものであって、現時点では適切な解釈を与えることができていない。しかしながらこの結果こそ島孤マグマについての重要な事実を示唆している。今後、鉛同位体の分析結果をも加えて、検討を進める計画である。 なお東北日本孤第3紀火山岩についてもこれまでのSr_1Ndに加えて、鉛同位体分析の必要が迫られている。すでにフランスのレネ大学のB.M.Jahn教授の協力を得て、鉛同位体分析のためのシステムを完成したので、本年中にはその結果が得られるものと期待している。
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