1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640561
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金森 英人 東京工業大学, 理学部, 助教授 (00204545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幸田 清一郎 東京大学, 工学部, 教授 (10011107)
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Keywords | 非線形光学媒体 / 低温マトリクス / 第3高調波発生 / 表面増強非線形効果 |
Research Abstract |
昨年度のXeマトリクス結晶の波長532nmに対する非線形効果に引き続き、355nmでの非線形効果を測定した。この場合、非線形効果で発生が予想される光は真空紫外領域の光となるので、2次、3次の高調波を基本波と分離するために真空紫外分光器を準備した。結晶室と分光器室の境界にフッ化リチウムのレンズを設置し、両者の光学的結合と真空の分離を実現した。実験結果は同じ光学アライメントの気相の場合を基準として固相マトリクスの場合を評価した。 (1)気相Xeの355nm入射次の高調波発生。 理論どうり2次高調波は発生せず、3次高調波の発生が認められた。その強度は入射光の2.6乗に比例した。 (2)マトリクスXeの355nm入射次の高調波発生。 予想どうり3次高調波の発生が認められたが、結晶がブレイクダウンする光パワー限界が比較的小さいので、外部に取り出せる強度は期待されたほど強くはなかった。予想外だったのは2次高調波が非常に強く発生している事であった。その原因は発生する場所が結晶表面に限られた場合であることから、結晶の持つ中心対称性が表面では崩れているため2次の非線形効果が起きていると解釈した。さらに驚くべきことは、この表面発生2次高調波は入射光に対して100ns程度の時定数を持つことである。 (3)マトリクスXeの532nm入射次の高調波発生。 3次光の発生が表面で特に強く認められ、その時間波形は100ns程度の時定数を有した。 以上の時間遅れの現象は光のエネルギーが一時、結晶に蓄えられることを意味している。また3)の3次光は2)の2次光とエネルギーが一致していることから、Xe原子の6s->5p、あるいは6p->5p遷移がマトリクスシフトの結果、今回の高調波のエネルギーと偶然近接したため共鳴的に強い非線形効果が発現したと解釈した。
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