1994 Fiscal Year Annual Research Report
固体脂肪族カルボニル分子の電子スペクトルと電子-フォノン相互作用
Project/Area Number |
05640573
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小柳 元彦 九州大学, 理学部, 助手 (00037201)
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Keywords | 芳香族カルボニル / 電子-フォノン相互作用 / 極低温光反応 / ベンジルラジカル / ラジカル反応 |
Research Abstract |
アセトン結晶の発光スペクトルの解像力を上げるために、試料セルの揺動に起因するゆらぎやヘリュームバブルによる信号のゆらぎを出来るだけ抑えるこころみがなされたが、現実に試料を液体ヘリュームの中で動かすのだから、目ざましいS/N比改良には至らなかった。広い波長域をカバーするために広いセルを用いるという考えも現実にあっては難しいものであった。それに加えて、石英ヂュワ-の破損という事故もありこのアセトンのスペクトルに関しては初年度にすすめた部分からの著しい進捗しているものはない。ガラスヂュワ-を用いてすすめられた結果を以下に示す。(1)ヘキサクロロアセトンのS_1←S_0スペクトルの振電構造がかなり明らかとなった。(2)ヘキサクロロアセトンのT_1←S_0りん光スペクトルにおけるフォノンモードの役割りはFranck-Condon的なものであることが判った。(3)トルエン結晶中のベンジルラジカル生成は4.2Kでも77Kでも認められるのであるが、これはベンゼン中のトルエンでは77Kではベンジルラジカルの生成が認められないのと著しい差である。ラジカル生成機構における三重項励起子の役割りが明らかとなった。(4)トルエンをシクロヘキサンのようなほぼ円形のホスト分子にドープしたとき、試料の作り方によって、おもに3種類の形の異なるバンドパターンをもって現れることが判った。この中の1つが気相中のものに近く、あとの2種類とも0-0バンド強度が著しく小さいという意味で極めてユニークである。(1)〜(4)はいずれも論文準備中であるが、(3)(4)はpreliminaryな部分は発表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Kosugi et al.: "Characteristic Fluorescence Band Patterns of the Benzvl Radical in Amorphous Cyclohexane Matrices" Mem.Fac.Sci.,Kyushu Univ.,Ser.C,. 19. 97-104 (1994)
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[Publications] K.Uejoh et al.: "Benzyl Radical Formation and Its Fluorescence Spectru in Toluene Crystals at Low Temperature" Mem.Fac.Sci.,Khyshu Univ.,Ser.C,. 19. 105-108 (1994)