1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640587
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉良 満夫 東北大学, 理学部, 助教授 (40004452)
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Keywords | 5配位シリカート / トロポロナート / X線構造解析 / 動的NMR解析 |
Research Abstract |
ケイ素は同族の炭素と異なり5配位および6配位の高配位状態を比較的安定にとることができる。高配位ケイ素化合物は構造化学的にも反応論的にも興味深い化合物であるが、その反応特性が十分に理解されているとは言いがたい。 今回、ケイ素上の置換基を選択することによって、トロポロナート基を有する種々の新規な中性高配位ケイ素化合物を高収率で合成することに成功し、その構造と反応に関して興味ある知見を得た。 メトキシ基を2つ以上有するアルキルおよびアリールシランを少量のトリエチルアミン存在下に反応させることにより、種々のジ(トロポロナート)シリカート1を得た。興味深いことに、トロポロンに対してメトキシシランを大過剰に用いても、ケイ素上にトロポロナート基が2つ導入された。1の構造は各種スペクトルによって同定した。1は^<29>SiNMRでは高配位ケイ素に特徴的な非常に高磁場に吸収が観察された。 X線構造解析により1のジメチルおよびジフェニル誘導体の固体状態での構造を明らかにした。ケイ素上6配位であり、それぞれ2つのメチルおよびフェニル基がシス配位した構造を有することが明らかになった。ケイ素上ほぼ8面体構造であり、4つのSi-O結合距離は1.85±0.07Aであり、また、トロポロナート環の5つのC-C結合距離は1.39±0.05Aであり、結合交替は小さい。1は分子内のトロピリウムカチオンを対アニオンとする6配位シリカートであると言える。1の1つのトロポロン環上の7つの炭素は等価ではなく、低温^<13>CNMRでは非等価に観察されるが、温度の上昇と共に4種の炭素に融合する。動的^<13>CNMR解析によって、種々のジ(p-置換フェニル)シリカートにおけるこの交換速度過程の解析を行った。
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Research Products
(1 results)