1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640587
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉良 満夫 東北大学, 理学部, 助教授 (40004452)
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Keywords | 高配位ケイ素 / フッ化物イオン / 原子移動反応 / 反応機構 / 動的NMR / X線構造解析 |
Research Abstract |
本研究は新規な構造を有する5配位シリカートおよび関連化合物を創製し、その基礎的物性と反応性を明らかにし、高配位ケイ素中心の特徴を活かした新しい機能性材料開発の指針を得る目的で行った。前年度までに、p-(1a)およびm-〔(フェニルジフルオロシリル)フェニル〕(フェニル)トリフルオロシリカート(1b)の分子間フッ化物イオンの移動の速度および活性化パラメータを動的NMR解析によって決定した。本年度はまず、4配位ケイ素と5配位ケイ素の間の分子間フッ化物イオン移動反応の原型の一つとして、ジフェニルジフルオロシラン(2)とジフェニルジフルオロシリカート(3)の間のフッ化物イオン移動反応の速度パラメータを決定した。1aおよび1bの分子間フッ化物イオン移動反応の活性化エンタルピーはジクロロメタン中それぞれ、-89および-100J・mol^<-1>・K^<-1>と極めて大きな負の値を示したが2/3交換系では+15J・mol^<-1>・K^<-1>程度の小さいが正の値を示した。このような活性化パラメーターの比較から、1aおよび1bの分子間フッ化物イオン移動反応ではファン型遷移状態を経由して2つのフッ化物イオンが同時に移動するような協奏機構がより強固なものとなった。さらに、フェロセン環の上下に4配位シリル基と5配位シリカート基を有する新規なフルオロシリルシリカート類を合成し、そのケイ素上のフッ化物イオンの移動の速度を動的NMRを用いて測定し、この系では分子間移動と分子内移動が競争して起こることを明らかにした。また、これらフッ化物イオン供与体受容体系の固体中でのフッ化物イオン移動の可能性を検討する目的で、1aに類似した新規なシリルシリカートの結晶化に成功し、その結晶中の分子構造および分子間相互作用の可能性を検討し、超イオン伝導体への可能性を示した。
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Research Products
(1 results)