1994 Fiscal Year Annual Research Report
溶質分子-溶媒分子間の形の類似性効果を利用する化学反応の選択性の制御
Project/Area Number |
05640613
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
遠藤 忠 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70082782)
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Keywords | 選択性制御 / 形の類似性効果 / 会合性チオール / 酸素酸化反応 / プロピルアルコール / 炭化水素 |
Research Abstract |
溶質分子と溶媒分子(実質的には、それらの置換基)の形が互いに類似している時に、モデル化合物の反応の選択性は、高くなることが示唆されている。そこで、この「形の類似性効果」を利用し、これまで以上に“精密"で新しいタイプの選択性制御の方法を開発するために、一対の会合性チオールIとII(R^1とR^2はそれらの置換基)の酸素酸化反応を行い、その選択性の温度依存性パターンと、溶質(会合性チオール)分子の置換基-溶媒分子の置換基間の形の類似性との関係を検討した。 1.R^1がフェニル基でR^2がイソペンチル基の場合について、20、35および50℃で選択性を調べた。ベンゼン-エタノール2成分混合溶媒(エタノールのモル分率=0.50)中では、選択性は、35℃の近傍で極大を示すことが明らかになった。これに対して、n-ヘキサン-エタノール2成分混合溶媒中での選択性は温度に対して単調に減少するにすぎないこと、またイソヘキサン-エタノール中での選択性は極小を示すことがわかった。この結果は、R^1(会合性チオールIの置換基)と混合溶媒中の炭化水素(ベンゼン、イソヘキサンあるいはn-ヘキサン)の形が類似している時に、選択性は、温度に対して極大を示す可能性のあることを示唆している。 2.R^1がシクロペンチル基でR^2がn-ブチル基の場合について、20、35および50℃で選択性を調べた。この場合には多量の副生成物が生じた。選択性は、メタノール-n-ブチルアルコールおよびメタノール-イソブチルアルコール2成分混合溶媒(メタノールのモル分率=0.50)中において、いづれも温度に対して単調に増加した。本研究によって得られた結果から、「溶質分子-溶媒分子間の形の類似性」と「選択性の温度依存性パターン」との間には、明確な相関関係は見られないことがわかった。
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