1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640638
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Research Institution | DAIDO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
酒井 陽一 大同工業大学, 工学部, 助教授 (00126070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 孝義 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (80249953)
山寺 秀雄 大同工業大学, 工学部, 非常勤講師 (70022499)
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Keywords | メチル架橋錯体 / 単条配位ポリマー / 5配位炭素 / 結合角 / 配位構造 / 配位結合 / 角重なり模型 |
Research Abstract |
1.メチル架橋鎖状錯体[M(CH_3)_2]_∞(M=Be,Mg)の架橋結合の性質について考察した。(1)架橋配位子の炭素原子は5配位であり,単純な共有結合は考えにくいのでイオン結合模型に基づく計算を行った.静電相互作用は鎖状錯体を安定化するが,計算によって求めた最適結合角111°は実験値66°(Be),75°(Mg)に比べて著しく大きく,共有結合の寄与を示唆する.(2)角重なり模型を用いる混成軌道理論から得られる最適結合角は35°という極めて小さい値であるから,この結合は純粋に近い共有結合でもありえない。(3)結合の部分的イオン性に配慮した分子軌道模型に基づく計算は,仮定したパラメーターの値に任意性はあるものの,実験値に近い結合角を与えた.(4)これらの結果を総合して,実際の架橋結合はイオン結合性と共有結合性と中間の性質をもつと推定した. 2.メチル架橋鎖状錯体[LiAl(CH_3)_4]_∞の架橋結合の性質について考察した.(1)上の2価金属錯体の場合と同じく,イオン結合模型に基づく計算は,鎖状錯体が安定に存在し得ることを示すが,架橋結合の結合角として得られた106°は実験値(77°)に比べて著しく小さい.(2)角重なり模型を用いる共有結合模型に基づく計算は,結合角がLi-C結合とAl-C結合の相対的な強さに依存することを示し,強度比1:1の場合の40°から0:1の場合の79°まで変化した.実験値77°と一致する結合角は強度比1:33を仮定した場合に得られ,その場合メチル基の軌道の向きのC-Al結合軸からのずれは1°以下であった.このことからこの錯体は近似的にLi^+と[Al(CH_3)_4]^-とからなるとみなされる.ただし[Al(CH_3)_4]^-の理想的な形から少し歪んでいるということは,CH_3^--Li^+結合が純粋なイオン結合ではなく,弱いながらも共有結合性をもっていることを示す. 3.メチル架橋結合はイオン結合と共有結合の中間の性質をもち,上の例はその二つの異なる型を代表する。
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