1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640643
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
櫻井 雅男 北海道大学, 理学部, 助手 (70002251)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新田 勝利 北海道大学, 理学部, 教授 (80001858)
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Keywords | 過冷却 / 不凍糖蛋白質 / 水溶液 / 体積挙動 / 部分モル量 / 疎水性水和 / ブロックコポリマー / 形態転移 |
Research Abstract |
1.水中における疎水性基の挙動を調べるために、8種類の酢酸エステル同族体の希薄水溶液の密度と超音波音速度を測定し、部分モル容積と部分モル断熱圧縮を求めた。その結果、酢酸ブチルのようなきわめて疎水的な溶質の場合でも、体積挙動には水の構造変化に基づくと思われるような特異的な挙動は全く観察されないことが分かった。水素結合性に富んだ水の液体構造が疎水性基のまわりに形成されるという、いわゆる疎水性水和現象が本当に存在するのかどうか、再検討されねばならない。 2.前年度に引き続き、各種アミノ酸とそれらのアセチルアミド誘導体について、希薄水溶液の体積挙動を検討した。その結果、特に疎水性側鎖を持つアミノ酸については、両端の解離基の存在による静電相互作用の影響が大きく、蛋白質の体積挙動を研究するためのモデル物質としてはあまり適切でないことが分かった。現在、側鎖に極性基を持つ種々のアミノ酸についてアセチルアミド誘導体を合成しており、これらのイオン性基を非イオン性基で置換したアミノ酸誘導体に関するデータを集積することにより、実在の蛋白質の体積挙動と比較検討することを目指している。 3.数種の合成高分子水溶液の凝固点降下を測定した。束一性から予想されるよりは遥かに大きな凝固点降下が観察されたが、不凍糖蛋白質によるきわめて大きな効果ほどではない。分子量依存性の結果からも、合成高分子による凝固点降下は糖蛋白質の不凍効果とは別の機構によるものと考えられる。高分子水溶液の凝固点降下に関する研究例は少なく、従来報告されている結果についても測定方法など再検討しなければならないように思える。
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[Publications] Masao Sakurai: "Apparent Molan Volumes and Adiabatic Compressions of Watev in Some Alcohols" Bull.Chem.Soc.Jpn.67. 352-359 (1994)
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[Publications] Masao Sakurai: "Volumetric Propevties of Diluto Aqueous Alcohol Solutions at Diffevent Tempevatures" Bull.Chem.Soc.Jpn.67. 1580-1587 (1994)
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[Publications] Masao Sakurai: "Sound Volocities and Apparent Molav Adiabatic Compressions of Alcohols in Dilute Aqueous Solutions" J.Chem.Eng.Data. 40. 301-310 (1995)
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[Publications] Masao Sakurai: "Viscosities,Densities,and Sound Velocities for Dilute Aqueous Gpllan Solutions" Food Hydrocolloids. (印刷中).