1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640647
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鳥海 弥和 東京大学, 教育学部, 助手 (70180205)
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Keywords | 液晶 / 強誘電性液晶 / コンホメーション / NMR / 時間分解FT-IR |
Research Abstract |
1.本研究では、強誘電性液晶(FLC)分子における光学活性アルキル末端鎖のコンホメーション特性と配向特性を明らかにする目的で、重水素NMR測定、時間分解FT-IR測定、さらに計算機実験による解析を進めてきた。本年度に得られた研究成果は以下の通りである。 2.まず^2H-NMRについては、前年度に合成した重水素置換FLC試料を用いて、光学活性アルキル鎖の固相から液晶相にいたるまでの運動性の変化、また液晶相における配向特性について解析をおこなった。現在、これらのデータをもとにコンホメーション解析を継続中である。 3.また、強誘電転移時における各官能基の動的挙動にかんする情報を得る目的で、FT-IR時間分解法による解析も進め、光学活性アルキル鎖とコア・セグメントの動的挙動に明瞭な違いがあることを見いだした。これは、従来の概念に根本的な変更をせまる重要な発見であると認識している。 4.一方、計算機実験の分野では、FLC分子の結晶状態におけるコンホメーション特性を分子動力学計算により解析し、光学活性鎖が分子長軸に対し垂直に折れ曲がった構造をもつことを見いだした、これはX線結晶解析の結果とも一致する構造である。また、この構造が孤立分子状態においても安定なことを分子軌道法計算によって確認した。この特異構造は結晶相でも保持されているものと予想され、これが強誘電性の発現メカニズムと深く関わっているものと考えられている。 5.現在、これら本年度に得られた研究成果をもとに、光学活性アルキル末端鎖のコンホメーション特性についてコンピュータ解析を行っており、このシミュレーション実験を通しFLC分子の一次構造とコンホメーション特性との対応を明らかにできるものと考えられている。
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