1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640655
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
坂本 政臣 山形大学, 理学部, 助教授 (20036445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 昭 愛媛大学, 教養部, 教授 (00028987)
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Keywords | 二核錯体 / 希土類錯体 / 磁気的性質 / 蛍光特性 |
Research Abstract |
本研究の目的は,d-遷移元素と希土類元素とを組み合わせたd-f元素系二核錯体を設計・合成することによって,(1)二核錯体による有機基質の特異的取り込み,(2)d-f金属イオン間の磁気的相互作用に基づいた錯体強磁性体構築素子としての可能性,(3)ユウロピウムなどを用いた光機能性錯体としての可能性,(4)d-遷移金属錯体による酸素分子活性化に及ぼす希土類の効果,などについて調べ,希土類の特徴を発揮できる錯体を追求することである。平成5年度では,以下のような二核錯体を合成し,それらの性質を調べた。 その結果,『アミノアルコールなどの基質では窒素原子はd-遷移金属サイトに,酸素原子は希土類サイトに特異的に結合して取り込まれる』,『銅(II)とガドリニウム(III)との間には強磁性的相互作用が弱いながらも明らかに見られる』,『ユウロピム(III)の蛍光が二核錯体を形成することによって著しく弱くなる』ことなどがわかった。これらのなかでも特に,ニッケル(II)のsalen錯体はピリジン溶媒中でもニッケルへの溶媒配位がないことがよく知られているが,今回の二核錯体にアミノアルコールを加えるとアミノアルコールの酸素原子が希土類サイトに固定されるために窒素原子がニッケルに配位できるようになったことは注目に値する。また,種々のd-遷移金属のsalen-タイプ配位子との錯体をユウロピム(III)やテルビウム(III)の溶液に加えることによって,二核錯体形成による蛍光消光について更に詳細に検討した。これらの成果は,学会で発表,更に論文投稿の予定である。
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