1994 Fiscal Year Annual Research Report
アフィニティー相互作用を用いるキャピラリー電気泳動の高分解能化に関する研究
Project/Area Number |
05640673
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
田中 俊逸 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (30142194)
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Keywords | キャピラリー電気泳動 / アフィニティー相互作用 / アビジン-ビオチン / フミン酸 |
Research Abstract |
キャピラリー電気泳動法(CE)における高分解能化を目指して、各種平衡反応のキャピラリー内への導入について検討した。特に今年度は(1)生体内に広く分布するビタミンの一つであるナイアシン誘導体のCEによる分解、(2)生体タンパク質とリガンドの相互作用すなわちアフィニティー相互作用の電気化学的検出、(3)土壌の産生する腐食物質と金属イオンとの相互作用に与える塩濃度の効果について検討した。(2)(3)については直接CE分離に関するものではないが、それらの相互作用をキャピラリー内に導入するために是非とも必要となる基礎的検討である。それぞれの項目について成果の概要を以下に述べる。 (1)ナイアシンは分子中にピリジン骨格を有し、生体内で代謝されて種々の類似体を生成する。これらのナイアシン類をpH9の泳動溶液でCE分離を試みたところ、この条件下では多くのナイアシン類は同じ泳動速度を持ち分離されない。しかし、pHを下げピリジン間の窒素上にプロトンを付加すると、その酸解離平衡に基づいて泳動速度が制御され、13種のナイアシン類の分離が達成できた。さらにSISミセルとの分配平衡を用いることによってpH9の条件下でも分離でき、20分以内で13種類のナイアシン類の完全分離が達成できた。さらに、これらナイアシン類のSDSミセルとの分配係数を求めることができた。 (2)生体の持つ機能性分子としてタンパク質であるアビジンを用い、そのビオチンとの強い特異的な相互作用を利用する電気化学的アッセイ法について検討した。電極活性物質でラベル化したビオチンリガンドを用いることによってビタミンHの高感度検出法を開発した。 (3)土壌産生の腐食物質の一つであるフミン酸の酸・塩基平衡を連続分布モデルによって解析し、フミン酸中には二つの酸解離可能な官能基群があることを明らかにした。またフミン酸の重金属イオンとの錯形成能力がイオン強度の増加とともに増すことを明らかとし、河口などで天然水のイオン強度が急激に変化するような場合のフミン酸の動的挙動についての知見を得ることができた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Sugawara: "Electrochemical determination of avidin-biotin binding using an electroactive biotin dirivative as a marker" Bioelectrochem.and Bioenergetics,. 33. 205-207 (1994)
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[Publications] M.Fukushma,: "Effect of ionicstrength on complexing equilibrium between copper(II)and humic acid," Int.J.Environ.Anal.Chem.,. 56. 229-237 (1994)
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[Publications] M.Fukushima,: "Interpretation of acid-base equilibrium of humic acid by continuous pK distribution model and electrostatic model," Anal.Chim.Acta,. 302. 365-373 (1994)
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[Publications] K.Sugawara,: "Electrochemical assay of avidin and biotin using a biotin derivative labeled weth an electroactive compoud," Anal.Chem.67. 299-302 (1995)
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[Publications] K.Sugawara,: "Electrochemical behavior of sugar by uding a carbon paste electrode modified with copper(II)-porphyrin," J.Electroanal.Chem.,. (in press.). (1995)