1994 Fiscal Year Annual Research Report
相同組換えに伴うジーンコンバージョンとマウスの遺伝子修復
Project/Area Number |
05640699
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
権藤 洋一 九州大学, 生体防御医学研究所, 講師 (40225678)
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Keywords | 相同組換え / 遺伝子修復 / ジーンコンバージョン / 高等動物 / 分子遺伝学 / ジーンターゲッティグ / マウスゲノム / 不等価組換え |
Research Abstract |
ジーンターゲッテイグを用いてマウス第11染色体上のp53遺伝子座にneo-tkカセットを標的導入した胚幹(ES)細胞を確立し、染色体の相同組換えに関与する一連の現象を解析した。成果として、二段階のジーンターゲッテイグを施し、遺伝子置換を普遍的に行ない得ることを実際に証明した。さらにこの過程で予期されなかったジーンコンバージョンによる偽相同組換え体が、25%程度の頻度で必ず付随して得られることを示し、また、野性型アリル(W)とneo-tkアリル(T)をもつヘテロ接合体(W/T)ES細胞において2つのアリル間で両方向に、しかも再現性よく組換え修復が生じることも明らかにし、すでに本年度、発表した(Gondo et al.BBRC,1994)。 組換え修復の機構として、[1]比較的限られた領域での除去修復タイプのジーンコンバージョン、[2]相同染色体のDNA複製後の染色分体(sister chromatids)間の相同組換え、[3]単一親由来の二染色体性(uniparental disomy)にみられるような染色体不分離によるホモ接合化、の3仮説を提唱した。この検定のためには、全領域にわたって多型度の高いF1交雑マウス由来のES細胞株を用いればよい。そこで、CBA近交系マウスとC57BL/6近交系マウスのF胚由来のTT2細胞株を用いて、新たにneo-tkカセットをp53遺伝子座に標的導入し、すでにW/Tヘテロ接合体となったTT2細胞株を17株独立に単離確立した。また、TT2ヘテロ接合体においてp53遺伝子座と連鎖し、遺伝的多型を検出できるSSLマーカーの検討を始め、すでに4対が利用可能であることを確認した。 この系によって、哺乳動物細胞における遺伝的組換えを限られた領域で詳細に、かつ、分子レベルで解析することが可能となり、現在、さらに多くの多型マーカーを揃えて研究を進めている。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Y.Gondo,et al.: "Gene replacement of the p53 gene with the lacZ gene in mouse embryonic stem cells and mice by using two steps of homologous recombiration." Biochem.Biophys,Res.Commun.202. 830-837 (1994)
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[Publications] M.H.Brilliant,et al.: "One-dimensional Genome Scanning:Identification of the basis of a mouse mutation and identification of Genomic changes in ovarian cavcinoma." Electrophoresis. 16. 163-167 (1995)
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[Publications] Y.Gondo.: "Size-selected genomic libraries:The distribution and size-fractionation of restvicted genomic DNA fragments by gel electrophoresis." Electrophoresis. 16. 168-173 (1995)
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[Publications] Y.Gondo,et al: "Theoretical of one-dimensional genome scanning:A direct method to identify the site of a mutation." Electrophoresis. 16. 174-178 (1995)
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[Publications] 権藤洋一、他: "トランスジエニックマウスを用いた環境変異原検定系の開発" Environ.Mut.Res.Commun.16. 53-65 (1994)
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[Publications] 中村健司、他: "自在な標的遺伝子置換法" 実験医学. 11(20). 138-141 (1993)
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[Publications] 権藤洋一、他: "「疾患モデルマウス」標的遺伝子組換えの新しい戦略-自在な標的遺伝子置換法" 中山書店, 6 (1994)
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[Publications] 権藤洋一、他: "「疾患モデルマウス」HITECマウス:トランスジェニックマウスを用いた体細胞突然変異解析系" 中山書店, 5 (1994)