1993 Fiscal Year Annual Research Report
樹高成長の遡及計測法を用いた森林群集の発達過程の解析
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05640713
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
木村 允 東京都立大学, 理学部, 教授 (40087127)
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Keywords | 亜高山帯針葉樹林 / シラビソ / オオシラビソ / 成長パターン / 競争 / 樹高成長 / 直径成長 |
Research Abstract |
平成5年度には八ヶ岳の亜高山帯シラビソ・オオシラビソ林2か所に8m×8mおよび6m×6mの方形区を設置し、全個体のマッピングを行い、各個体の胸高直径、地際直径、樹高、四方向の枝張り等を測定した。また成長の遡及計測法によって、全個体の過去の成長経過を計測した。 その結果を解析することにより、樹林個体間の競争様式を、樹幹の直径成長および樹高成長にかんして検討した。 得られた暫定的結論は以下のようにまとめられる。 1.樹高の分布は、林分の成長に伴い、最初のL字型が二山型となり、上層にシラビソが多く、下層にオオシラビソが多い状態になって来た。 2.それに対して樹幹の直径分布は一山型を保っていた。 3.樹高1.3m以上の個体ではシラビソとオオシラビソの間に成長のパターン(平均成長量や成長量の分散のサイズ依存性)に有意な差異はみられなかった。 4.樹高1.3m以下の小個体ではオオシラビソの方がシラビソより樹高成長が大きかった。 5.小個体の生残率はオオシラビソの方がシラビソより高かった。 6.樹木個体間の競争様式を空間的および非空間的競争モデルを用いて検討したところ、シラビソの成長には二方向的な競争の効果がみられたが、オオシラビソは競争にほとんど影響されない成長を示した。
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