1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640717
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
益子 計夫 帝京大学, 文学部, 助教授 (00082321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森野 浩 茨城大学, 理学部, 助教授 (30091870)
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Keywords | バイカル湖 / ヨコエビ / 系統進化 / 種分化 / アロザイム / 形態学 / 陸水生物学 / 集団遺伝学 |
Research Abstract |
バイカル湖より得られたヨコエビ類の凍結サンプルおよび固定サンプルについて、2つの主要な研究がおこなわれた。 第一は、沿岸性の1種Eulimnogammarus Cyaneusの地方集団に対する酵素タンパク多型を用いた集団遺伝学的解析である。このために、9種の緩衝液系のもとで、26酵素反応に関して、予備的な検討を行なった。その結果、14酵素17遺伝子座でルーチン的な集団解析が可能であることがわかった。また、5遺伝子座の酵素タンパクについて多型が検出された。現在、これらの遺伝座に関して、地方集団サンプルについて解析を続行中であり、注目すべきデータも得られつつある。すなわち、バイカル湖中央部のオルホンスキ・ヴォロータ海峡を境に、南北集団間で明確な遺伝的差異が認められた。また、それらの南北集団間では、クライン様の遺伝子頻度変化も認められた。これらの事実は、バイカル湖という地史的な安定な水塊に生息しながらも、生物集団の遺伝的組成は決して一様なものではなく、環境要因と関連しあいながらダイナミックに変動していることを示唆している。 第二の課題は、Eulimonogammarus属の形態分類学的再検討である。本属については、既に4亜属16種が確認され、未整理のものを含めると更に10種が加えられる見通しとなってきた。それらの形態分類上の識別においては、体節背面の棘および毛の配列パターンが重要であることなどの知見が得られた。これに基づいて、本属の系統発生パターンを解明すべく、種内変異を含めての分析を行なっている段階である。現在までに行なった近縁な3種間の比較では、これらの形質は予想以上の大きい違いがあることなどが解ってきた。
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Research Products
(1 results)