1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640717
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Research Institution | TEIKYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
益子 計夫 帝京大学, 文学部, 助教授 (00082321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森野 浩 茨城大学, 理学部, 助教授 (30091870)
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Keywords | 種多様性 / 集団遺伝学 / ヨコエビ / バイカル湖 / 系統進化 / 形態多様性 / アロザイム分析 |
Research Abstract |
前年にひきつづき、バイカル湖に固有群として生息するEulimnogammarus属のヨコエビ類について、アロザイム分析および形態的解析を行なった。 アロザイム分析による集団の遺伝的構造の解明は、E.cynaneusを主たる対象として行なわれた。アロザイム分析に関して、今年度更に多型的遺伝子座を増やすことができ、結局16酵素21遺伝子座での解析が可能となった。これに基づき、湖岸に沿う約30地点から得られた、計1500個体を分析した。その結果、本種地方集団は、大きく南北の2つの集団グループに分化しており、さらに南部の集団グループは、アンガラ川の流出口を挾んで中央部と最南部の亜集団グループに分化していることが解った。これらの集団間の遺伝的距離は比較的小さなものであり、分化の起源が比較的最近のものであることを示唆していた。このようなヨコエビ集団の遺伝的分化は、過去の地史な環境変動とよく対応しており、それが種分化の要因となっているものと考えられた。 形態形質は、Eulimnogammarus属の6種に加えて、これと近縁なバイカル湖産4種、ヨーロッパ産2種、シベリア産1種に関して行なった。これに関して、48の形態形質に基づいてクラスター分析を行なったところ、バイカル湖産のEurybiogammarusとHeterogammarus属の2つのグループは、湖外のヨコエビに近縁であり、Eulimnogammarusはむしろ特殊化していることが解った。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 益子計夫: "バイカル湖における種の分化はいかにしておこったか" 日本BICER協議会1993年度年報. 1993年度. 32-34 (1994)
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[Publications] 森野 浩,宮崎信之(編): "バイカル湖:古代湖のフィールドサイエンス" 東京大学出版会, 267 (1994)