1995 Fiscal Year Annual Research Report
海洋生態系における従属栄養性渦鞭毛虫の動態と機能に関する研究
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05640720
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
中村 泰男 国立環境研究所, 地域環境研究グループ・海域保全研究室, 主任研究員 (00132853)
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Keywords | 従属栄養性渦鞭毛虫 / 微生物食物連鎖 / 微小動物プランクトン / 摂食 / 増殖 / 繊毛虫 |
Research Abstract |
平成5-6年度の研究によって、従属栄養性渦鞭毛虫は植物プランクトン捕食者として、内海で重要な役割を果たしていることが明らかとなった。この点を踏まえた上で、平成7年度は、従属栄養性渦鞭毛虫および繊毛虫よりなる微小動物プランクトン群衆が『かいあし類』によって、どれだけの速度で食べられているのかを、現場実験に基づき解析した。この点を明らかにすることで、植物プランクトン-微小動物プランクトン(従属栄養性渦鞭毛虫)-『かいあし類』とつながる、低次栄養段階での物質循環を明らかにすることができる。 具体的には7月15日から8月9日にかけて、瀬戸内海、家島諸島で海洋調査と、『かいあし類』Paracalanusを材料とした、微小動物プランクトン捕食実験を行った。その結果、Paracalanusの従属栄養性渦鞭毛虫と繊毛虫に対する濾水速度は植物プランクトンに対するより3倍程度大きい事が判明した。そして、海域におけるこれら微小動物プランクトンの現存量を考え合わせると、『かいあし類』は微小動物プランクトンのみを餌としても群衆を維持できる事が強く示唆された。 なお、調査期間中、微小動物プランクトンが卓越した直後、2um以上のプランクトンは、植物、動物ともほとんど見当たらなくなった。そして、ピコプランクトン(<2um)のみが大量に存在していた。これらピコプランクトンは、1mm前後のオタマボヤ(原索動物)によって捕食されて、現存量を著しく減少した。ピコプランクトンの卓越は、微小動物プランクトンによって引き起こされたと考えられるので、結果的には、微小動物プランクトンの卓越が、Microbial Loopにおいて、ピコプランクトンの有機物生産を高次捕食者につなげる役割を果たしたと考えられた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Nakamura, T. et al: "Growth and graging of a naked heterotrophic dinoflagellate, Gyrodinium dominans" Aquatic Microbial Ecology. 9. 157-164 (1995)
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[Publications] Nakamura, T. et al: "Population dynamics of heterotrophic dinoflagellates during a Gymnodinium mikimotoi red tide in the Seto Inland Sec." Mar. Ecol. Prog. Ser. 125. 269-277 (1995)