1993 Fiscal Year Annual Research Report
種子貯蔵タンパク質遺伝子発現の環境要因応答機構の遺伝学的解析
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05640722
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
内藤 哲 北海道大学, 農学部, 助教授 (20164105)
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Keywords | アラビドプシス / ダイズ / 種子貯蔵タンパク質 / トランスジェニック植物 / β-グルクロニダーゼ / 突然変異株 / エチオニン耐性 |
Research Abstract |
ダイズの主要な種子貯蔵タンパク質の一つであるβ-コングリシニンはα、α'およびβの3つのサブユニットを持つが、βサブユニット遺伝子はアブシジン酸や植物の栄養条件によって発現が変化することが知られており、遺伝子発現の制御機構を調べる系として興味深い性質を持っている。ダイズ植物を硫酸イオン欠乏条件下で栽培するとβサブユニットの蓄積が特異的に増加し、一方ダイズ未熟子葉をメチオニン存在下で培養するとβサブユニットの発現が抑制される。 βサブユニット遺伝子のプロモーター領域とβ-グルクロニダーゼ遺伝子(GUS)との融合遺伝子を持つトランスジェニック・アラビドプシス(Pβ-GUS株)の種子を突然変異誘起剤で処理を行なう。この種子をロックウールによる養液栽培で生育させ、次世代(M2)種子を調整した。得られたM2種子を播種して、芽生えの子葉のGUS活性を測定し、正常培地条件下で硫酸イオン欠乏条件下と同様にGUS活性が上昇する株を選別し、変異株の一次候補とした。現在得られた一次候補について解析を行っている。 Pβ-GUS株とメチオニン過剰蓄積変異株とを掛け合わせ、導入遺伝子に関しても、メチオニン過剰蓄積変異に関しても共にホモ接合体となった株を確立し、種子を突然変異誘起剤で処理し、正常培地で生育させてM2種子を調整した。M2種子をM1植物ごとに調整し、それぞれのM1ラインから数粒ずつの種子をGUS活性測定に供した。メチオニン過剰蓄積変異株のバックグラウンドでも種子のGUS活性が高い株を選別し、変異株の一次候補とした。現在得られた一次候補について解析を行っている。また、この研究の過程で、メチオニン過剰蓄積変異株の種子でのGUS活性の発現制御が子葉と胚乳で異なっていることを見いだした。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Naito,M.Y.Hirai,M.Chino,Y.Komeda: "Expression of a soybean(Glycine max[L.]Merr.)seed storage protein gene in transgenic Arabidopsis thaliana and its response to nutritional stress and to abscisic acid mutations." Plant Physiology. (印刷中). (1994)
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[Publications] K.Inaba,T.Fujiwara,H.Hayashi,M.Chino,Y.Komeda,S.Naito: "Isolation of an Arabidopsis thaliana mutant,mto1,that over-accumulates soluble methionine:temporal and spatial patterns of soluble methionine accumulation." Plant Physiology. (印刷中). (1994)
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[Publications] M.Yokota Hirai,T.Fujiwara,Y.Komeda,M.Chino and S.Naito: "“Plant Nutrition-from genetic engineering to field practice."" Kluwer Academic Publishers., 803 (1993)