1993 Fiscal Year Annual Research Report
シダ類および針葉樹における暗所でのクロロフィル合成関連遺伝子の構造と発現調節
Project/Area Number |
05640727
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
山田 恭司 富山大学, 理学部, 教授 (70200714)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 直樹 農水省生物資源研究所, 機能開発部, 室長
|
Keywords | シダ植物 / 針葉樹類 / ダーク・グリーニング / クロロフィル合成 / chlL遺伝子 / 葉緑体遺伝子 / RNAエディティング / 分子生物学 |
Research Abstract |
1.代表的なシダ類であるワラビとホウライシダにおいて、葉緑体DNAからchlL遺伝子に相同な配列をクローン化することに成功した。得られたDNAクローンのヌクレオチド配列を決定し、それぞれのアミノ酸コード領域を解析したところ、ワラビとホウライシダのchlL相同遺伝子では、いずれの場合もRNAエディティングの起きている可能性が高いことを見出だした。下等な維管束植物であるシダ類の葉緑体においてもRNAエディティングが起きているとすれば、それは世界で初めての発見であり、植物におけるRNAエディティング機構の進化を考えるうえできわめて重要な意義をもつ。 2.代表的な針葉樹類であるクロマツとカラマツにおいて、chlL相同配列を全DNAからPCRによってクローニングすることを試みた。その結果、カラマツではクローン化に失敗したが、クロマツでは成功した。クロマツのDNAクローンの構造解析を行なったところ、クロマツのchlL相同遺伝子は、シダ類から単離したものと高い相同性を示した。マツ類とシダ類で同定することのできたchlL相同配列は、より下等な光合成生物である光合成細菌や真核ソウ類のchlL相同遺伝子が示す構造上の特徴をよく保持していた。 3.本年度の成果をさらに発展させ論文発表するために、今後は、(1)シダ類のchlL遺伝子で見出だしたRNAエディティングの可能性について検討を加えるとともに、(2)暗所ではクロロフィル合成ができないカラマツのchlL遺伝子相同配列をクローン化し解析を行なうことを計画する。これらの研究成果を平成6年に開催される国際植物分子生物学会(6月)および国内の植物生理学会(3月)で発表する。また遺伝学会(10月)ではRNAエディティングの機構と進化についてのシンポジウムを計画準備中である。
|