1993 Fiscal Year Annual Research Report
コムギヒストン遺伝子の発現制御における転写因子間相互作用の解析
Project/Area Number |
05640729
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飯 哲夫 京都大学, 理学部, 助教授 (40157813)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 卓哉 京都大学, 理学部, 助手 (30207948)
岩渕 雅樹 京都大学, 理学部, 教授 (30000839)
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Keywords | ヒストン遺伝子 / 転写因子 / 相互作用 / bZIP型因子 / 転写制御 / HBP-1a |
Research Abstract |
ヒストンH3遺伝子の1つTH012のプロモーター領域の解析により、ヘキサマーとオクタマーから成るタイプIエレメントがS期特異的転写を規定しうることが明らかとなっている。このタイプIエレメントは、ヘキサマー結合因子とオクタマー結合因子の両者の存在下で機能することから、両因子間の直接あるいは間接的な相互作用が予想される。また、転写開始には、タイプIエレメント上に形成される複合体と基本転写因子との生産的な相互作用があるはずである。S期特異的転写のメカニズムを解明するためにはタイプIエレメント上に形成される複合体の構成成分を洗い出すとともに、それら因子群の活性制御機構を理解する必要がある。そこで、既にクローン化されているヘキサマーに特異的結合因子の中で、最も解析の進んでいるHBP-1a(17)と特異的に相互作用する因子の単離を、West-westem法やTwo-hybrid法により行った。 West-western法によるスクリーニングの結果、HBP-1a(17)と相互作用する因子のcDNAクローンが1つ得られた。構造解析の結果、この因子は、378アミノ酸からなる、C末端側にbZIPモチーフを持つHBP-1aサブファミリーに属するタンパクであることが分かった。この因子がHBP-1aと相互作用することから、この因子をHALF-1(HBP-1-associated Leucine-zipper Factor-1)と名付けた。HALF-1は、フィルター上では、HBP-1a(17)とbZIPモチーフを含む領域を介して結合するが、ゲルシフト法では、ヘテロ2量体の形成を確認することが出来なかった。1つの可能性として、ヘテロ2量体はDNA(ヘキサマー配列)に結合できず、その性質によって、HBP-1aの機能を制御している事が考えられる。この点について更に検討を進めている。また、HALF-1は、N末端近傍にAlaに富む領域を、中央部には酸性のアミノ酸残基とSerに富む領域を持つ。ホモロジー検索の結果、コムギのABA応答エレメントに結合する因子EmBP-1との間で、分子全体にわたり高い類似性を持つことが見出された。しかし、HALF-1の中央部には、酸性のアミノ酸残基と共にカゼインキナーゼIIによりリン酸化され得るSerが多く見出されるのに対して、EmBP-1ではそのようなSerが存在せず、それぞれが異なる制御を受けていることが予想された。
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