1994 Fiscal Year Annual Research Report
ラン藻の種々の光化学系変異体の系II複合体またはアセンブリ中間体の単離と性質
Project/Area Number |
05640742
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Research Institution | University of Tokyo |
Principal Investigator |
池内 昌彦 東京大学, 教養学部, 助教授 (20159601)
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Keywords | 形質転換型ラン藻 / ラン藻 / 光化学系II / 光化学系I / 紅藻 |
Research Abstract |
形質転換型ラン藻Synechocystis sp. PCC 6803の光化学系I欠損株より光化学系II複合体を単離した.チラコイド膜をドデシルマルトシドで可溶化した後,ショ糖密度勾配遠心法によって純度の高い系II標品を得ることに成功した.そのタンパク質組成は従来の系II標品とよく似ていたが,13kDa,11kDaの2種の新規タンパク質が見いだされた.これらのタンパク質やこれまで未同定のものを解析するために,N末端のアミノ酸配列を決定した.4.1kDa領域からは2種の配列が得られ,psbM産物と従来核支配の4.1kDaタンパク質として知られていたものと相同であった.この4.1kDaタンパク質の配列は紅藻の葉緑体DNAに存在するORF39の産物と相同で,psbXと命名した.4.5kDa領域からはycf8と相同で,psbWと命名した.今回新しく見つかった13kDaタンパク質の配列は,紅藻の葉緑体DNAのORF115と相同性があり,psbYと命名した.このタンパク質は,アラビドプシスのcDNAデータにも相同なものがあり,高等植物では核支配であることが明らかになった.11kDaタンパク質のアミノ酸配列はデータベースには対応するものが見つからず,新規タンパク質と考えられた.以上,これまで未同定であった系IIタンパク質が多く確認されたので,今後これらのタンパク質の遺伝子をクローニングし,抗体の調製,本形質転換型ラン藻を用いた遺伝子破壊などを行う必要がある.また,本研究で得られた系II標品はタンパク質の純度は高いが酸素発生活性がほとんど失われているため,今後活性を保持した標品を単離し,活性と今回発見したタンパク質の関連についても研究していく予定である.
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