1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640743
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本村 泰三 北海道大学, 理学部, 助手 (30183974)
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Keywords | ブロモデオキシウリジン / ヒバマタ / 核分裂 / 核内DNA測光 / マガタマモ / 細胞周期 / 細胞周期制御因子 / 藻類多核細胞 |
Research Abstract |
褐藻ヒバマタでは、コルヒチンを用い卵核と精核の融合を阻害した場合、卵核では正常にDNA合成を行った後に染色体凝縮がおこるが、精核では未成熟染色体凝縮が起こる。さらに未受精卵を細胞融合させ、受精・発生させた場合にはそれぞれの卵核は核融合はしないが、同調的に分裂する。以上の観察結果は藻類細胞においても細胞周期制御因子が存在することを強く示唆している。予備実験として行ったヒバマタ受精過程の観察は論文として発表し、卵核と精核の核融合阻害の際に見られる精核の未成熟染色体凝縮についても雑誌に投稿中である。 これに対し多核緑藻の場合、生殖細胞形成を除いては、藻体は多核細胞でありながら細胞中のすべての核が必ずしも同調的には核分裂しない特徴がある。細胞質拡散性の細胞周期制御因子がこの場合においても存在していると考えると、多核緑藻細胞においてすべての核が同調的に分裂しないのは極めてユニークな特徴と言える。そこで本年度は主に多核緑藻マガタマモを用い、細胞周期制御機構について基礎的実験を行った。アフィディコリンを使用し、細胞核をS期の直前で止めておき、それを解除する事により細胞周期を同調化し、DAPI染色による核内DNA量の増加さらにブロモデオキシウリジンの取り込み実験から、G1,S,G2,M期の各時間を決定した。またマガタマモに見られる核分裂周期が同調化したパッチ集団は新しい細胞周期毎に再構築されることを明らかにした。さらに多核緑藻においては核分裂時において核膜が常に保存されていることが知られているため、マガタマモの核分裂について電子顕微鏡を用いて詳細に再調査した。
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