1993 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌ヒトヨタケの形態形成を阻害する細胞骨格突然変異の解析
Project/Area Number |
05640751
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
鎌田 尭 岡山大学, 理学部, 助教授 (40033360)
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Keywords | 担子菌 / ヒトヨタケ / 子実体発生 / 隔壁形成 / キチンミクロフィブリル / 微小管 / アクチンフィラメント / サイトカラシンE |
Research Abstract |
1.子実体(キノコ)発生の開始時に細胞形態が変化し、それに伴って細胞壁のキチンミクロフィブリル(MF)がランダム配向からラセン配向に変化することがわかっている。このMFの配向の変化に微小管がどのように関わっているかを明らかにするために、まず野生型株について子実体発生開始時の細胞を電子顕微鏡で調査した。その結果、微小管は常に、主として細胞の長軸方向に配列しているのが観察され、高等植物で見られるようなMFの配向と微小管の配向との平行関係はないことがわかった。 2.チューブリンのin vitroでの重合実験は、細胞抽出液のプロテアーゼ活性が高いため、未だ成功に至っていない。今後、プロテアーゼ活性を抑えるための条件をさらに検討する必要がある。 3.細胞形態形成におけるアクチンフィラメントの働きを明らかにするために、抗アクチンフィラメント剤サイトカラシンE(CE)に対する耐性変異株を単離し、解析を行っている。これまでに得られたCE耐性株はすべて、一つの遺伝子座CER1における変異によるものであること、またこれら変異のうちのいくつかは隔壁形成を阻止することがわかっている。しかし、CER1の遺伝子産物は同定されていなかった。そこで、多くのCE耐性株について、、ウエスタンブロッティングによるアクチンの分析を行った。その結果、CE耐性株の一つCES14R42において、SDS-PAGE後のウエスタンブロッティングでは野生型と同じバンドが現われるが、IEF後のウエスタンブロッティングでは野生型と異なり全くバンドが検出されないことがわかった。この結果は、CES14R42ではアクチン分子が何らかの変異を起こしていることを示しており、CER1の遺伝子産物はアクチンであることが強く示唆された。
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