1993 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640753
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
三田 高志 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (70200037)
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Keywords | 重力屈性 / 重力感知 |
Research Abstract |
植物の重力屈性における重力感知機構は、主に根を実験材料として調べられてきた。それらの研究より、根では根端部に存在するコルメラ細胞中の、でんぷん粒を色素体が重力を感受しているとされている。しかしながら、重力の方向に色素体が移動すること以外のことは、ほとんど明らかになっていない。一つの仮説としては、重力刺激によりリコルメラ細胞中にある小胞体と色素体の間に相互作用が起こり、重力刺激という物理的刺激が化学的信号に変換されるというものがある。このような仮説が植物の茎の重力屈性の場合にもあてはまるのかどうかを検証するために、本研究ではダイコン芽生え胚軸について調べた。 まず、ダイコン芽生えを重力に対して直角方向にたおし、その後の屈曲を時間を追って計った。その結果、芽生えを横に倒して30分ほどしてから茎が上に屈曲しはじめた。これは、茎における重力感知は、重力刺激後30分以内に起こることを示している。この時、時間を追って茎の皮層の最内層の重力感知細胞を観察すると、重力刺激後7分ですでにその細胞中の重力センサーとされる色素体が重力方向に移動しはじめた。そこで重力刺激前と刺激7分後の感知細胞を固定、包埋し、その微細構造を観察した。その結果、色素体が基底壁から側壁側に移動する以外には、特に微細構造の変化は観察されなかった。また、感知細胞中には小胞体はほとんど観察されず、色素体との間に関係も見られなかった。しかしながら、重力感知細胞に特徴的な構造として、表皮側の側壁に特異的な原形質連絡が存在することを発見した。ここからの感知細胞から皮層細胞への物質の流出入が重力感知に重要な役割をはたしていると思われる。現在この構造について研究を行っている。
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