1993 Fiscal Year Annual Research Report
ナガレタゴガエルの性染色体と性決定に関与する遺伝子の細胞生物学的検索
Project/Area Number |
05640754
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
龍崎 正士 北里大学, 医学部, 助教授 (20050528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀧沢 直定 北里大学, 医学部, 専任講師 (40050562)
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Keywords | カエル / 両生類 / 核型 / 染色体 / 性染色体 / 性決定遺伝子 / 細胞生物学 |
Research Abstract |
ナガレタゴガエルについてのこれまでの研究で次のことを明らかにしている。 1(1)東京都西多摩群五日市町の盆堀川水系には、ナガレタゴガエルとタゴガエルが生息していることを確認し、広島大学理学部附属両生類研究施設の西岡みどり教授との共同研究による交雑実験から、両者の間には生殖隔離がないことを確認している。 (2)採集調査で、ナガレタゴガエルは盆堀川の主流の川底の石の下で越冬し、繁殖期に入ると雄の背側の皮膚と大腿部の皮膚がひだ状になり、軟らかくだぶつき、大きな衣服を着た格好になるのが一つの特徴である。越冬(冬眠)場所近くの川底に2月下旬から3月上旬頃産卵するのを確認している。タゴガエルは盆堀川の支流の伏水域で4月下旬から5月上旬頃産卵するのを確認しているが、繁殖期の雄は、ナガレタゴガエルほど背側と大腿部の皮膚のひだ状の発達はない。 (3)タゴガエルに比して、ナガレタゴガエルは大型で、後肢のみずかきの発達がよく、雄の婚姻瘤は前肢第一指の基部から指端近くにおよび、灰黄色を呈し著しく発達する。 2(1)ナガレタゴガエルの核型は、血液細胞培養で得た染色体標本から、総数は26本で、雄ヘテロのXY型の性染色体をもつことを分析確認することが出来た。詳細なデータは分析中である。 (2)タゴガエルの染色体数は26本であるが、核型は分析中である。 3(1)ナガレタゴガエルからいくつかのSRY(Sex-determining Region of Y)型の遺伝子を単離することに成功したが、雄ゲノムに特異的に存在するものは、現在のところ得られていない。 (2)性特異的遺伝子のクローニングは、群馬大学内分泌研究所の物理化学研究室の近藤寿彦先生の開発した固相ゲノム-サブトラクション法を用いて行っている。
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