1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640761
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
神崎 亮平 筑波大学, 生物科学系, 講師 (40221907)
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Keywords | 昆虫 / 本能行動 / 下行性介在神経 / 匂い / フェロモン / 脳 / フリップ・フロップ / 定位行動 |
Research Abstract |
ある種の昆虫は、同種の雌パートナーに定位するとき雌が放出する性フェロモンの匂いを鍵刺激としてジグザグ走行や飛翔を示す。この行動は、中枢神経系にプログラムされた嗅覚刺激によって発現する本能的行動と考えられる。鱗翅目昆虫のカイコガでは、このジグザグ行動は脳と胸部運動系を結ぶ2種類の下行性介在神経がフェロモン刺激に対して示すフリップフロップ(FF)的な神経インパルスパターンによって制御されていることが示唆されている。FFとは元来、電子回路を構成する記憶機能を持つ基本的な素子の動作を示すが、これと類似の動作特性がカイコガの脳・中枢神経系で形成され、その活動がジグザグ行動を誘発する本能行動の制御と関連することが予想される。 本研究において、FF神経情報の機能と形成メカニズムを神経生理学、形態学、行動学的手法によって解析し、本能行動の発現および制御機構の解明を行った。 1.行動:カイコガの胸部を拘束してジグザグ歩行を行わせる行動装置を考案し、行動を高速度撮影しその画像を解析することによってジグザグ歩行のプログラム、さらにそれに伴うはばたき運動の詳細を解析した。 2.形態の同定:カイコガのFFや他の応答パターンを示す下行性介在神経は腹髄神経索(VNC)を介して胸部神経節にいたるが、コバルトなどの色素をVNCの断端から逆行性に取り込ませることにより、これらの下行性介在神経の脳内分布が明らかになった。さらに、複数の鱗翅目昆虫においても類似の下行性介在神経が存在したことから、類似の神経回路の存在が広く鱗翅目昆虫に存在することが示唆される。 3.生理学的特性:吸引電極により、FF応答と頸神経の応答を同時記録した結果、両者で活動パターンが同期することが判明した。これは、FF応答がジグザグ行動を制御することを示唆する一つの証拠である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kanzaki Ryohei: "Morphological and physiological properties of pheromone-triggered flip-flopping descending interneurons of the male silkworm moth,Bombyx mori." J.Comp.Physiol.A. 175. 1-14 (1994)
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[Publications] 神崎亮平: "昆虫の匂い源探索行動のしくみ-脳における匂い情報処理と行動発現" 生物物理. (印刷中). (1995)
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[Publications] 神崎亮平: "昆虫の匂い源探索行動の制御メカニズム" 日本味と匂学会誌. 1. 432-435 (1994)
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[Publications] Kanzaki Ryohei: "Olfactory processing pathways of the insect brain. Lateral accessory lobe system in the protocerebrum produces olfactory flip-flopping signals in Bombyx mori." Olfaction and Taste. 11. 831-834 (1994)
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[Publications] Kanzaki Ryohei: "Morphology and physiology of pheromone-triggered flip-flop descending interneurons of the male silkworm moth,Bombyx mori." Olfaction and Taste. 11. 851 (1994)
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[Publications] 神崎亮平: "昆虫の脳神経系における匂い情報処理と行動発現機構の研究。" 日本味と匂学会誌. 1. 142-145 (1994)