1993 Fiscal Year Annual Research Report
卵細胞内カルシウムイオンの一過性増大を誘起する精子由来の因子の同定
Project/Area Number |
05640764
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
黒田 英世 富山大学, 理学部, 教授 (50064845)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 徹 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 教授 (40025680)
|
Keywords | ウニ / 卵細胞 / カルシウムイオン / 精子 |
Research Abstract |
我々はウニ精子の可溶性画分に受精卵に細胞内カルシウムイオン濃度の一過性増大(Ca-transient)を誘起する因子が含まれている事を確かめている。本研究ではこの因子を精製する事を第一の目的としている。 バフンウニとムラサキウニを敦賀湾と富山湾で大量に採集し、精子を集めた。精子を凍結融解し遠心して得た上清を熱処理後分子量5,000以下の分画を出発物質とした。ゲル濾過クロマトグラフィによるとこの因子の分子量はおよそ300となった。pH8.2において陽イオン交換樹脂に、pH5.0において陰イオン交換樹脂に吸着されずめだった解離基の無いこと、逆相クロマトグラフィの結果からこの因子は両親媒性であることが判明した。そこでゲル濾過-陰イオン交換-陽イオン交換-アミド80による順相クロマトグラフィを重ねる事によりかなり純度の高い標品を得ることが出来た。しかしマススペクトロスコピイやNMRにかけるには量的に不足であった。現在、大規模の精製を行っている。 かなりの労力をウニ集め・精子集め・因子精製に使った。それでもなお不十分なようで、再度挑戦中である。そのためには、活性検定法の簡略化の必要にせまられ、現在種々の試みを行っている。 更にこの因子によるCa-transientの誘起機構について追究した。従来この因子によるCa-transientはG-proteinを経てIP_3によるカルシウム遊離(IICR)によっておこるとする傍証を得ていた。そこでこの時のIP_3濃度の測定を行ったところやはり一過性の増大が起こった。ただしIP_3濃度のピークはCa-transientのそれより遅れた。これはこのCa-transientにIICRが関与している事は確かであるが他の遊離機構が関与している事を示しているのかもしれない。さらにこのCa-transientのsourceは細胞内にある事を確かめた。
|