1994 Fiscal Year Annual Research Report
コオロギ視葉視覚性介在ニューロンの概日時計支配の解析
Project/Area Number |
05640770
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Research Institution | YAMAGUCHI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
富岡 憲治 山口大学, 理学部, 助教授 (30136163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 隆司 金沢工業大学, 工学部, 助教授 (70113595)
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Keywords | 概日リズム / 概日時計 / 視覚 / 昆虫 / 視葉 / ニューロン |
Research Abstract |
今年度は(1)視覚性介在ニューロンの応答性の概日リズムの解析と、(2)概日リズムにかかわる神経伝達物質の推定、の2項目を計画していだが、これまでに以下の事実が明らかとなった。 1.昨年度に引き続き、細胞内記録・染色による視覚性ニューロンの同定を行い、視髄基部に細胞体を持ち、軸索が脳を経由して反対側の視髄に終末する、視髄巨大ニューロンを15本同定した。 2.タングステン電極による細胞外電気活動記録により、視葉視覚性介在ニューロンの概日リズムを解析した。その結果、ほとんどのニューロンがその光応答性および自活発動が夜顕著に増加する概日リズムを持つことが分かった。さらに、形態的に同定したニューロンの対応関係を知るため、吸引電極による単一ニューロン活動の長時間記録を行い、視髄巨大ニューロンのうち3本の概日リズムの特性を明かにした。それらはの光パルスに対する応答はいずれも主観的夜に増加し、昼の数十倍から100倍に達した。自発放電には夜増加するものと、逆に昼増加する2つのタイプがあった。 3.昨年度、HPLC-ECDをもちいた分析から、セロトニンが概日時計出力系の神経伝達物質である可能性が示唆されていたが、そのことを確かめるため視覚性ニュローン活動に及ぼすセロトニンの影響を調べた。その結果、セロトニンは視覚性ニューロンの感度を顕著に低下させることが分かった。 以上の結果より、視葉概日時計は視葉内の視覚性介在ニューロンの感度を夜間に増加させ、昼低下させるが、その作用にはセロトニン性ニューロンが係わっていることが示唆された。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Matsumoto,Akira: "Chronobiological analysis of a new clock mutant Toki in Drosophila melanogaster." J.Neurogenet.9. 141-155 (1994)
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[Publications] Tomioka,Kenji: "Optic lobe circadian pacemaker sends its informatin to the contralateral optic lobe in the cricket Gryllus bimaculatus." J.Comp.Physiol.A. 175. 381-388 (1994)
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[Publications] Murata,Takehide: "Ritsu:a clock mutant from natural population of Drosophila melanogaster." J.Neurogenet.9. 239-249 (1995)
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[Publications] Yukizane,Mitsunobu: "Neural pathways involved in mutual interactions between optic lobe circadian pacemakers in the cricket Gryllus bimaculatus." J.Comp.Physiol.A. 176(印刷中). (1995)
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[Publications] 長尾隆司: "第7章 行動を調節する生体アミン、富永佳也 編:昆虫の脳探る" 共立出版, 印刷中 (1995)
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[Publications] 富岡憲治: "第8章 概日時計は脳にある、富永佳也 編:昆虫の脳を探る" 共立出版(印刷中), (1995)