1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05640788
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Research Institution | Kobe university |
Principal Investigator |
内藤 親彦 神戸大学, 農学部, 教授 (70031226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田井 晰 姫路工業大学, 理学部, 教授 (20029961)
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Keywords | 寄主転換 / 産卵誘因物質 / 幼虫可食性 / 条件付け効果 / 選択交尾 / 遺伝子流入 / 高度反復配列DNA / 分布南限 |
Research Abstract |
日本南西部の北緯34度付近の自然環境下で、ニホントガリシダハバチHemitaxonus japonicus complexが寄主転換をともなって、地理的隔離なしに新しい生態種を分化させつつある事実を発見しているが、今年度は本種の同所性種分化について以下の研究成果を得た。1.同所的、同時的に共存するジュウモンジシダ生態種およびイノデ生態種の雌は、それぞれの寄主植物にのみ産卵するが、それらのF1雌はイノデにも産卵できるが、ジュウモンジシダを顕著に選択する。2.両生態種はアルコール類似の極性をもち、空気酸化に敏感な、それぞれ異なる誘因化学物質を産卵の手掛かりとしていることをつきとめたが、産卵が植物組織内に行なうという特殊行動のため、生物検定の困難さも原因して、活性成分の特定には至っていない。3.生態種形成にともなって生じる旧寄主植物に対する幼虫の不食化現象は、F1およびF2幼虫の植物可食性実験から、一般に考えられているような1遺伝子座支配ではなく、雌成虫が新しい寄生主植物に産卵を継続することによって生じる条件づけ効果によることが示唆された。4.新生態種形成にともなって生じる選択交尾現象は、旧生態種から新生態種への遺伝子流入を阻止し、新生態種の遺伝的独立性を保障する重要な生殖隔離機構であるが、これに関与すると考えられる性フェロモンの分離と同定には至っていない。5.高度反復配列DNAは近縁種間でも相同性の低い、種特異的な形質であるが、ジュウモンジ生態種、イノデ生態種およびそれらの同胞種であるシシガシラハバチH.sasayamensisでは相同性が高く、これら3者が極めて近縁にあることを示唆している。6.高度反復配列DNAの内、pYSファミリーのマイナ-バンドにみられる両生態種間での20bpの鎖長の違いは、生態種形成と反復配列の量的、質的変化との関係を解明する新たな問題を提起した。7.野外調査により、本種の分布南限は九州中部であることを明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shoji SONODA: "Characterization of a family of tandemly repetitive DNA sequences from the fern sawfly,Strongylogaster osmundae (Hymenoptera : Tenthredinidae)" Jpn.J.Genet.70 (in press). (1995)
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[Publications] Shoji SONODA: "A family of tandemly repetive DNA sequences from the fern sawfly,Strongylogaster osmundae (Hymenoptera : Tenthredinidae)" Appl.Entomol.Zool.30 (in press). (1995)