1993 Fiscal Year Annual Research Report
III-V族希薄磁性半導体ヘテロ接合における磁気秩序と電気伝導
Project/Area Number |
05650001
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大野 英男 北海道大学, 工学部, 助教授 (00152215)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中原 純一郎 北海道大学, 理学部, 教授 (30013527)
|
Keywords | 希薄磁性半導体 / III-〓族 / InAs / InMnAs / Mn / 化合物半導体 / 異常ホール効果 |
Research Abstract |
本研究では、申請者等が新しく合成に成功したIII-〓族をベースとする希薄磁性半導体を用いたヘテロ接合に見られる磁気秩序と電気伝導の関係を明らかにし、この新希薄磁性半導体ヘテロ接合の物性を解明し、応用の可能性を探ることを目的として研究を進めた。具体的には、(1)分子線エピタキシによる(In,Mn)As/(Al,Ga)Sbヘテロ構造の成長と加工、(2)1.4〜300K、最大8Tまでの磁場中での、磁気輸送特性(磁気抵抗効果、ホール効果)の測定を行った。 本研究で得られた新しい知見は、以下の点に要約される。試料としては、20nmの(In,Mn)As(MnAs組成0.18)を(Al,Ga)Sb(AlSb組成0.3)上に成長させたものを取り上げた。 (1)200K以下では、ホール抵抗は通常のホール効果と異常ホール効果よりなる。また、異常ホール効果の部分は磁化と抵抗の積に比例する。 (2)40K以上では、磁化は磁場に比例しキュリーワイス型の温度変化を示す。フィッティングよりキュリー温度として35Kを得る。このことは、Mn間の相互作用が強磁性的であることを示している。 (3)40K以下では、磁化曲線は急峻になり単純な常磁性と異なるふるまいを示す。10K以下で初めてヒステリシスが顕著になる。しかし、厚い試料で見られていた常磁性と強磁性の共存を示す特性は見られていない。 (4)平均場近似では40K以下の磁化のふるまいを理解することはできない。磁気ポーラロンなどの大きさを統計的に取り入れる、または超常磁性的ふるまいであると考えることで説明ができる可能性がある。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] H.Ohno: "Partial ferromagnetic order in p-type (In,Mn)As diluted magnetic III-V semiconductors" Material Science Forum. 117. 297-302 (1993)
-
[Publications] H.Ohno: "Diluted magnetic III-V semiconductor (In,Mn)As and its heterostructures" Proc.Japan-Korea Symposium on “Quantized Electronic Structures of Semiconductors". 80-83 (1993)
-
[Publications] 大野英男: "III-V族化合物半導体をベースとする希薄磁性半導体" 固体物理. 28. 290-296 (1993)
-
[Publications] 大野英男: "III-V族希薄磁性半導体の輸送現象と磁性" 応用物理. 63. 161-164 (1994)
-
[Publications] H.Ohno: "Dilutedmagnetic III-V semiconductors and its transport properties" Japanese Journal of Applied Physics. Suppl.32-3. 459-461 (1993)