1993 Fiscal Year Annual Research Report
分子配列制御によるフタロシアニン薄膜太陽電池の高機能化
Project/Area Number |
05650015
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上田 裕清 神戸大学, 工学部, 助教授 (40116190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳 久雄 神戸大学, 工学部, 助手 (00220179)
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Keywords | フタロシアニン / 分子配列制御 / 薄膜太陽電池 |
Research Abstract |
結晶成長や分子配向を制御した膜構造の異なるフタロシアニン薄膜光電池を作製し、その光電気特性と配向構造の関係について検討した。ITOガラス上に蒸着したチタニルフタロシアニン(TiOPc)、アルミクロロフタロシアニン(AlPcCl)およびフッソ化バナジルフタロシアニン(VOPcFx:x=13)膜は、多結晶膜から形成されていた。150℃に保った各種アルカリハライド上に蒸着したこれら3種のフタロシアニン膜は矩形結晶から形成され、下地結晶の周期構造に依存したエピタキシャル構造をとって配向成長した。ITO上に蒸着した多結晶膜とアルカリハライド上で作製した配向膜を電極とした湿式電池(ITO/Pc/0.5mMI_2,0.1M KI/Pt)を作製し、暗時および光照射時の電流-電圧特性から電池の性能を評価した。TiOPcおよびAlPcCl膜を用いた電池では、光照射時にカソーデックな光電流が認められTiOPcおよびAlPcCl薄膜はp型の半導体特性を示した。一方、VOPcFx膜を用いた電池では、光照射時にアノーデックな光電流が認められVOPcFx薄膜はn型の半導体特性を示した。光照射によるキャリアーの生成機構を光電流アクションスペクトルから検討した。無配向膜では溶液側から光照射した光電流アクションスペクトルは、膜の光吸収スペクトルと類似しているが、ITO側から光照射したときには約1/3の電流が得られるのみであった。即ち、TiOPcと溶液との界面がキャリアの光生成の活性領域であることが明かとなった。一方、配向膜ではいずれの側から光照射しても光電流アクションスペクトルと膜の吸収スペクトルは類似し、さらにITO側から光照射したときの方が大きな光電流が得られた。矩形結晶から形成される配向膜では結晶間の隙間を通じて溶液がITO近傍まで進入し、ITO近傍のTiOPcと溶液界面で生成したキャリアが光電流に有効に寄与することが明かとなった。配向膜を用いた湿式電池の性能パラメータの値は、いずれも無配向膜と比較して増大し、特に入射光強度に対する変換効率(η)は、TiOPc膜で6倍、AlPcCl膜で7倍、VoPcFx膜では300倍と著しく向上し、分子配向の顕著な効果を示した。
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Research Products
(1 results)