1995 Fiscal Year Annual Research Report
イオン性度制御層によるイオン性結晶と共有結合性結晶の界面制御エピタキシ-の研究
Project/Area Number |
05650025
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
筒井 一生 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (60188589)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川崎 宏治 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (10234056)
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Keywords | イオン性度制御層 / ヘテロエピタキシ- / フッ化物 / CaF_2 / GaAs / ZnSe / 界面制御 / 分子線エピタキシ- |
Research Abstract |
イオン性度が大きく異なる材料どうしのヘテロエピタキシ-において、中間的なイオン性度を持つ材料をイオン性度制御層としてヘテロ界面に導入し、良好なヘテロ構造を実現する技術とその機構解明を目的として研究を進めた。今年度は、これまで得られた知見、成長条件をふまえて、実際にエピタキシャルCaF_2(111)面上にイオン性度制御層としてのZnSeを成長し、さらにその上にGaAsをMBE成長する最終的な構造を製作しながら、その条件と本技術の有効性を検討した。まず、ZnSe層の成長を高温単一温度成長と固相成長の二つの方法で比較検討した。前者では、成長温度とZnSeの結晶性をX線回折法で評価した結果、300〜350℃の成長温度で200nm程度の膜厚で比較的良好な結晶性を得た。後者では、ZnSeを数nm程度の極薄層を室温で堆積し、これをMBE装置内でその場アニールして単結晶ZnSe薄膜を得る方法で、反射電子線回折の観測からアニール温度300℃以上で単結晶化が確認され、かつ、500℃程度の高温では表面の荒れが生じることがわかった。つづいて、これらの結晶を基に、350℃単一温度で成長したZnSe層(200nm)、および300℃アニールによる固相成長ZnSe層(3nm)上にそれぞれGaAsを前年度明らかにした二段階成長法で成長し、その結晶性を評価したところ、固相成長層を用いた場合のGaAs層の結晶性がZnSeバッファ層なしの直接成長に比べて顕著に向上した。この結果から、ZnSeバッファ層がCaF_2上のGaAsヘテロ成長に有効に働いていることが確かめられ、イオン性度制御層の効果を実証した。最終的には、この制御層は原子層単位の超薄層でその役割を果たせることをめざしているが、上記の固相成長薄層の有効性は、その可能性を強く示唆するものと考えられ、今後、原子オーダーでの詳細な検討を進める価値と必要性があると結論した。
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Research Products
(1 results)