1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05650057
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
馬場 茂 成蹊大学, 工学部, 教授 (80114619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 武雄 成蹊大学, 工学部, 助手 (40237342)
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Keywords | エキソ電子 / フラクトエミッション / 付着力 / X線光電子スペクトル / スクラッチ |
Research Abstract |
マグネトロンスパッタリングによって、Ar 100%、圧力2Paの雰囲気中で、MgOターゲットより200nmのMgO膜を作製した。この薄膜試料をX線光電子分光装置(PHI:model1600)に導入し、X線励起によって放出される電子のエネルギースペクトルを測定した。X線源にはMgターゲットからの特性X線(1253.6eV)を用いた。試料を装置に導入後、10〜30秒のイオンエッチング(Ar、3keV、15mA/cm^2)により、表面汚染を取り除き、Cのピークが検出限界以下になったことを確認した。その後、試料を10^<-8>Pa台の真空に室温で48時間放置した。この試料へ、加速電圧3keV、イオン電流密度15mA/cm^2の条件で、Arイオンの照射を行った。イオン照射は、サンプルの三ヶ所に、30秒間、1分間、2分間と行った。このイオン照射の前後に、エキソ電子放出の測定を行った。 電子放出の測定手段は以下のようである。試料に、20分間のX線照射と10分間の休止とを繰り返して行い、照射時に試料から放出される光電子を測定した。測定した光電子のエネルギー領域は、運動エネルギー(KE)1154〜1554eVの範囲とした。一本のスペクトルを測定するのに要する時間は13秒ほどであり、15秒間隔で繰り返しスペクトルの測定を行った。 イオンを照射した膜では、通常のMgO膜からの光電子スペクトルに重畳して、KE>1254eVの、照射X線よりも大きな運動エネルギー領域を含む測定範囲全域で、ホワイトノイズ様の放出電子が検出された。この電子放出は、2回目、3回目にX線の照射を開始した直後から観測され、時間が経過するとともに小さくなり、100秒ほどでほとんど0になった。イオン照射時間を長くするほど、電子の総放出量は多くなることが分かった。
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[Publications] Shigeru BABA et al.: "Effect of plasma treatment of PTFE on the adhesion of Au films" Journal of Adhesion Science & Technology. 7. 457-466 (1993)
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[Publications] 馬場茂: "薄膜の付着力測定" トライボロジスト. 40. 100-104 (1995)