1993 Fiscal Year Annual Research Report
化学反応を基調とするマイクロアクチュエータの実現に関する基礎的研究
Project/Area Number |
05650058
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Research Institution | Toin University of Yokohama |
Principal Investigator |
川久保 達之 桐蔭学園横浜大学, 工学部・一般教育等, 教授 (10016040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 貴 桐蔭学園横浜大学, 工学部・一般教育等, 助手 (50170329)
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Keywords | 原形質流動 / 界面活性剤 / マランゴニ効果 / ミオシン / アクチン / エネルギー変換 / マイクロアクチュエータ |
Research Abstract |
本研究の目的は、生体における運動発現の現象を参考にしながら、化学反応の継続による化学・機械エネルギー変換の可能性を探り、流体の運動を起こさせる流動性マイクロアクチュエータの実現を計ろうとするものである。今年度は1)生体系で起こっている原形質流動と2)人工的な化学反応系で実現する流動運動の解析を行ない、定性的ながら重要な成果を得た。 1)は車軸藻の原形質流動の原動力であるミオシンとアクチンの滑り運動に係わる現象である。この流動は原形質中に浮遊する顆粒に付着するミオシンと、細胞内壁に付着しているアクチンとの相互作用によると考えられているが、化学エネルギーがどうやって直接機械エネルギー変換されるかは分かっていない。われわれはその機構として、ミオシンがATPの分解によって活性化し、首振り運動が激しくなってアクチンを強く叩くが、アクチンの反応部位に極性があるためミオシン、従って顆粒は一方向だけに反跳を受け、その方向へだけの運動が実現するというモデルを立てたが、本科学研究補助費で購入した画像処理装置(ARGUS-10)で顆粒の運動を解析した結果、ミオシンがアクチンを叩くことによる反跳と思われるランダムな運動を観測した。 2)は界面活性剤水溶液と油との境界に沿って発生する界面波動の伝播の現象であるが、流れの観察から化学的エネルギーが直接流体の運動エネルギーに変換されていることが判明した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 川久保 達之: "生命現象と物理学 第7章生物現象と物理学" 朝倉書店(印刷中), (1994)
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[Publications] T.Kawakubo: "Physics of the Living State §4-3" オーム社(印刷中), (1994)