1993 Fiscal Year Annual Research Report
条件の複雑な流体の汎用的な数値解析法の基礎と工学への応用
Project/Area Number |
05650060
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水田 洋 北海道大学, 工学部, 助手 (10133703)
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Keywords | 数値流体力学 / 境界条件 / 移動境界 / 自由表面 / 密度界面 / 磁性流体 / 浮体 / 宇宙流体 |
Research Abstract |
本研究の目的は,非一様で変形し,かつ複雑な条件が課せられる境界によって囲まれた流体の汎用的な数値解析法を,工学における問題に適用しながら確立していくことである.このために掲げた具体的なテーマは,1.自由表面波および密度界面波の解析,2.移動物体と流体の相互作用,3.特殊外力下の流体,4.数値流体力学の基礎,である. 本年度は特に,3.に関連して「磁性流体の表面波・界面波」の理論的研究と数値的研究を重点的に推進した.理論的研究では,変動磁場のもとで相互作用しながら時間変化する二層磁性流体の表面と界面に注目し,それらの変位の時間変化を記述する「normal mode方程式」に基づいて波動の分散関係・安定性ダイヤグラムを導き出し,数値的研究・実験的研究に指針や検証法を与えた.数値的研究ではこれまで,「変形可能セル法」を開発してきた.これは,境界の動きと共に変形するセルと積分型の保存則を用い,境界条件を統一的に扱う数値解析法であるが,磁性流体中の波動を扱う場合でも,大きく枠組みを変更することなく,流体解析・磁場解析・磁場作用の取り込みを行うことができた.これら成果の一部は,国際会議(5th ISCFD),欧文論文(Proc. 43th NCTAM投稿中),およびいくつかの研究集会で発表した. この他の進展としては,主に1.に関連して「開いた境界」の扱いについて一定の認識に達したこと,変形可能セル法の安定性解析に道をつけたこと,手持ちの装置で数値解析結果の動画化を行ったことなどを挙げることができる. 来年度以降は,「密度界面の不安定化機構」「磁性流体の表面波・界面波」を続行すると共に,「生体内外の流れ」(2.に関連),粘性や表面張力が相対的に重要な「微小重力下の流体」(3.に関連),「流体数値解析法のデータベース作成」(4.に関連)についても開始を予定している.
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