1993 Fiscal Year Annual Research Report
Ni基単結晶合金の加速クリープ構成式の定式化に関する研究
Project/Area Number |
05650078
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大野 信忠 名古屋大学, 工学部, 助教授 (30115539)
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Keywords | 単結晶合金 / ニッケル基 / 加速クリープ / 構成式 / すべり系 |
Research Abstract |
Ni基単結晶合金では材料全体で結晶方位が揃っているから,その構成式の定式化は結晶すべり理論に基づくアプローチが最も適当であるが,この定式化のためにはすべり系間の相互作用が問題となる.しかし,Ni基単結晶合金の加速クリープに対してこのような相互作用を検討した研究は見あたらない.そこで本研究では,Ni基単結晶合金CMSX-2n薄肉円管試験片を用いて非定常引張り・ねじり組合せ試験を900℃で実施し,すべり系間の相互作用を実験的に調べたところ,次のような知見が得られた. 1.一定引張り・反転ねじり組合せ試験:この試験では,アクティブな八面体すべり系がねじり応力の反転に伴って変化する.そこで,ねじり応力反転前後のクリープ速度を比較することにより,八面体すべり系間の相互作用を調べた.この結果,相互作用のまったくない場合と軟化が完全に等方的な場合の丁度中間となることがわかった. 2.引張り・ねじり交替負荷クリープ試験:引張りクリープでは八面体すべり系が,一方ねじりクリープ試験では立方体すべり系が活動するから,この試験により八面体すべり系と立方体すべり系間の相互作用を調べた.この結果,材料軟化はほぼ等方的であり,両すべり系間の相互作用は極めて著しいことがわかった. 3.応力休止を伴う引張りクリープ試験:上に述べた等方的材料軟化の原因として,時効効果が考えられるため,応力休止時間500hの引張りクリープ試験を行ったところ,時効による材料軟化はほとんど無視できることがわかった. 以上のことから,すべり系間の相互作用としては,材料の等方軟化を仮定する方がより適切であると結論できる.
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Research Products
(1 results)