1993 Fiscal Year Annual Research Report
高温における微小欠陥初成のメゾスコピック・シミュレーション
Project/Area Number |
05650080
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北村 隆行 京都大学, 工学部, 助教授 (20169882)
|
Keywords | 原子モデル / 界面 / 微小欠陥 / 高温 / 分子動力学 / モンテカルロ法 / 数値シミュレーション / ポテンシャル・エネルギー |
Research Abstract |
本研究では,高温下において1ミクロン以下の微細要素に発生するナノ・オーダーの微小な欠陥形成のメカニズムを,原子モデルに基づき計算機シミュレーションによって明かにすることを目的とした.とくに,高温では,表面や粒界等に沿った高速拡散が微小欠陥の発生・成長に大きな影響を及ぼす.そこで,応力が負荷された条件下において高速拡散によって表面と粒界の会合点に形成される粒界溝に重点をおいて検討した.大規模集積回路(LSI)上の配線にはアルミニウムが用いられているが,配線幅が1ミクロン程度になると,ストレス・マイグレーションと呼ばれる応力に誘起された原子の移動による粒界欠陥が形成され,配線破断に至る場合がある.本研究では,原子のポテンシャル・エネルギのバランスに着目したモンテカルロ法を提案し,メゾスコピックな視点から表面と粒界の会合部における欠陥初成の様子をシミュレーションした.その結果,初成の挙動がうまく再現できた. 次に,界面のシミュレーションにおける原子間ポテンシャルとして信頼性が高く,かつ,多数の原子の挙動をシミュレーションできる原子埋め込み法(Embeded Atom Method,ニッケル原子)を採用して,複数の界面(粒界や表面)が会合する部分について分子動力学計算を行った.購入の設備は,この結果の表示に使用した.表面エネルギや粒界エネルギを計算した後,表面と表面,表面と粒界,2つの表面と粒界の会合点近傍の原子の安定性について検討した.計算結果より会合点の原子が非常に不安定であり,欠陥初成の起点となることが判明した.また,この傾向は引張り力の負荷によって助長されることがわかった.
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 北村隆行: "原子的視点からの粒界溝発生シミュレーション" 日本機械学会講演論文集. No.930-71. 187-188 (1993)
-
[Publications] 北村隆行: "表面拡散シミュレーションへのモンテカルロ法の適用" 日本機械学会講演論文集. No.930-73. 361-362 (1993)
-
[Publications] 北村隆行: "EAMポテンシャルを用いた分子動力学法による界面エネルギの評価" 日本機械学会集関西支部定時総会講演会(発表予定). (1994)