1993 Fiscal Year Annual Research Report
ダイヤモンドの熱化学的損耗機構の解明とその高能率加工への応用
Project/Area Number |
05650117
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
島田 尚一 大阪大学, 工学部, 助教授 (20029317)
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Keywords | ダイヤモンド / 工具材料 / 損耗 / 熱化学的損耗 / 拡散 / 酸化 |
Research Abstract |
本研究は、超精密切削加工を始め各種の精密加工用の工具材料として用いられているダイヤモンドの損耕機構を明らかにし、その制御と共に最近注目されている薄膜を含む合成および天然のダイヤモンド加工への応用を試みるもので、今年度の研究成果は次の通りである。 1.ターボ分子ポンプを排気装置として用い、真空度と温度の広範な条件下で、切削中のダイヤモンド工具の損耗を模擬する接触加熱モデル実験を行なった。その結果、鉄と接触するダイヤモンドは高温下ではダイヤモンドの鉄中への拡散と鉄の触媒作用によるダイヤモンドの酸化の両方によって損耗し、低温下では拡散が生じず、いわゆるレドックス機構のみによって損耗することが明らかになった。 2.熱力学的な解析によって、ダイヤモンドと各種の金属との反応が生じる可能性を知る手法を確立した。しかし、この手法では反応速度や活性化エネルギなどの情報は得られないため、接触相手材料による損耗速度の違いを知ることは全くできないという欠点がある。そこで、量子化学的は手法である局所密度汎関数法、リカージョン法を用いて、ダイヤモンド表面の炭素原子と雰囲気ガス分子、接触物質原子との相互作用を解析し、損耗機構を明らかにすることを試みた。今年度は計算プログラムの開発をほぼ完了したが、まだ収束時間がかかるため、実際の計算結果を出すには到っていない。
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