1994 Fiscal Year Annual Research Report
代替フロン用潤滑油の基油および添加剤の摩擦摩耗特性
Project/Area Number |
05650146
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山本 雄二 九州大学, 工学部, 教授 (10037997)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 文慈 九州大学, 工学部, 助手 (60224276)
権藤 誠吾 九州大学, 工学部, 助手 (50037975)
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Keywords | 代替フロン / 潤滑油 / 添加剤 / 摩耗 / 摩擦 |
Research Abstract |
代替フロンHFC134a雰囲気中での摩擦摩耗特性を,ポリアルキレングリコールPAG,ポリオールエステルPOEを基油とし,添加剤の影響を調べた.添加剤としてはアリール系リン酸エステルTCP,アルキル系リン酸エステルTOP,有機モリブデンMoDTCを使用した.その結果,TCP添加により,PAGおよびパラフィン系基油P150の場合には,摩擦面にリン酸鉄の形成が認められ,摩擦摩耗特性は改善される。一方,POEでは基油自体の極性が強いため、TCPの表面への吸着を妨げる結果,添加効果は認められなかった.TCPに比べて吸着能力は低いが反応性に富むTOP添加においては,幾分摩擦摩耗特性は改善される場合も認められたが,TCP添加に比べてその添加効果は低い.MoDTC添加の場合は,摩耗は殆ど発生せず,摩擦もPAGでは200℃でも摩擦係数が0.1とTCP添加と同程度の値を示す.POEではMoS2は摩擦面に形成されており,POE自体の吸着能力がある150℃以下では摩擦係数は0.05程度の極めて低い値を示した. また,光干渉法によりHFC134a相溶性のある雰囲気での往復動下の油膜形成状態を調べた.HFC134aと相溶性のあるPAC,POEの場合には,HFC134aの溶解基油中への溶解に伴い油膜厚さが急激に低下し、油膜破断を引き起こす.この油膜破断は,これらの基油よりも粘度の低いがHFC134aと相溶性のない鉱油や,窒素雰囲気中では発生しない.したがって,HFC134a中での摩擦摩耗特性の改善には,高粘度のPAG,POEの油膜形成能力に依存するには危険であり,基油自体および添加剤に境界潤滑能力,極圧潤滑能力の高いものを使用することが必要である.
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