1994 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウム合金複合材料の腐食性環境中摩擦・摩耗に関する研究
Project/Area Number |
05650152
|
Research Institution | FUKUOKA INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
後藤 穂積 福岡工業大学, 工学部, 教授 (60026101)
|
Keywords | アルミニウム合金基複合材料 / 摩擦・磨耗 / トライボロジー / 腐食性環境 / 潤滑油 / アルミナ短繊維 / 中空シリカ粒 |
Research Abstract |
Al合金基複合材料の腐食性環境中摩擦・摩耗挙動を詳しく知ることを目的として,本年度は湿り空気中,イオン交換水中,食塩水中において一方向及び往復すべり摩擦・摩耗試験を行った。Al合金AC8A材,これを基材とするアルミナ短繊維強化材及び中空シリカ粒強化材とステンレス鋼(SUS304)の組合せによるピン/ディスク形摩耗試験から以下の結果を得た。 (1)中空シリカ粒強化材:湿り空気中のシビヤ摩耗率は高荷重下でシリカ粒が破壊するため他の材料と較べて高いが,低荷重下では粒子が荷重を分担するのでマイルド摩耗率は低く,耐摩耗性が改善される。イオン交換水と食塩水中では,シビヤ-マイルド摩耗遷移荷重が湿り空気中より約10倍高く,マイルド摩耗率はAC8A材と同程度である。強化材の害作用が見られないのは,シリカ粒の高い体積含有率により摩耗面の金属露出割合が小さく,腐食摩耗が軽減されるためであろう。 (2)アルミナ短繊維強化材:湿り空気中のマイルド摩耗域で耐摩耗性はAC8A材に較べて改善されるが,高荷重域では破壊した強化材の破片がアブレシブ作用を示すため,いづれの環境でも他の材料と較べて耐摩耗性は悪い。また水溶液中ではAC8A材と較べて耐摩耗性が低下する。強化材の害作用が見られる理由として繊維脱落箇所等が腐食摩耗を受けやすいことが考えられる。 つぎに,軸受鋼球対平面(複合材料)の接触形式による湿り空気中往復摩擦・摩耗試験から以下の結果を得た。 (3)両複合材料とも低荷重で耐摩耗性に優れているが,高荷重ではAC8A材との差が見られず,鋼球の摩耗も大きい。 (4)摩耗係数μはマシン油中に比べかなり高い。μ値はAC8A材で最も小さく,アルミナ短繊維強化材,中空シリカ強化材の順に高くなる。これは接触面に象眼された強化材の破片による掘り起こし作用が摩耗抵抗になるためと考えられる。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 後藤穂積,大森舜二,澤山淳一: "アルミナ短繊維およびシリカ粒強化Al合金複合材料の腐食性環境中磨耗試験" 福岡工業大学エレクトロニクス研究所所報. 11. 101-108 (1994)
-
[Publications] 後藤穂積,大森舜二,佐伯充則: "潤滑油中におけるアルミニウム合金複合材料の摩擦・磨耗" 日本トライボロジー学会トライボロジー会議′94春 東京 予稿集. 21-24 (1994)
-
[Publications] 後藤穂積,大森舜二,澤山淳一: "腐食性環境中におけるアルミニウム合金基複合材料の摩耗" 日本トライボロジー学会トライボロジー会議′94秋 金沢 予稿集. 351-354 (1994)