微細空気泡の吹き込みによるボイルオーバー抑制に関する研究

1993 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 05650189
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 北野 三千雄 東北大学, 工学部, 助教授 (30005467)
• Keywords: 防災 / ボイルオーバー / 微細空気泡吹込み / 沸騰

Research Abstract

海上に流出した原油を迅速に除去する方法の一つとして焼却法が考えられているが、これを実用する際に問題となるボイルオーバーの抑制に関し、微細空気泡を液層内に吹き込み、これのもつ層内撹拌ならびに水層への伝熱量低減の効果を利用する方法を提案した。本年度はボイルオーバーの基本特性を明確にすることを主とした実験を行い、燃料の種類(沸点が大きく異なる正ヘプタンと正ドデシルベンゼンの二種)、燃料および水の初期液層厚さ、初期温度、空気泡吹き込みなどのボイルオーバーへの影響を調べた。なお、実験にはA、B二種類のカップ形バーナ(いずれも内径65mm、深さ65mm)を使用した。Aは観察用で、円筒部が耐熱ガラス製、底部が黄銅製である。底部は円筒内をスライドでき、液層厚さは可変である。また、ここに取り付けられた多孔質円筒を介して液層内に空気を送り込める。Bは円筒部、底部ともに黄銅製で、中心軸上4mm間隔で張り渡した8本のK形熱電対により液層内の温度分布の経時変化が測定される。これにより以下のような結果を得た。
1.ボイルオーバーは沸点の高いドデシルベンゼン(331℃)でのみ発生し、低いヘプタン(98℃)では起こらない。温度分布の履歴から、前者については時間とともに燃料層内部に高温層が形成されるのが確認された。
2.ドデシルベンゼンのボイルオーバーについて
(1)初期燃料層厚さが厚くなると発生時間は加速度的に長くなる。
(2)初期水層厚さが厚くなると発生時間は長くなるが徐々に飽和する。
(3)初期液層温度(燃料、水同温)を上昇させると発生時間は短くなる。
(4)微細空気泡を適度に吹き込むと発生を抑制することができる。このとき燃料は穏やかではあるがほぼ完全に燃焼し、ボイルオーバー発生時にみられるような多量の燃料の燃え残りはなかった。