1993 Fiscal Year Annual Research Report
新しい表面分析法による真空ギャップ電極表面酸化物の絶縁破壊電圧に対する影響の研究
Project/Area Number |
05650269
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小林 信一 埼玉大学, 工学部, 助教授 (40008876)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 則明 埼玉大学, 工学部, 教授 (90023019)
|
Keywords | 真空中絶縁破壊 / 超高真空中一貫処理 / 電極表面酸化 / X線光電子分光法 / イオンビームスパッタ |
Research Abstract |
従来から当研究室に設置されていた,X線光電子分光装置(XPS),真空絶縁破壊試験装置およびイオンビームスパッタ法による電極表面清浄化装置をもとにして,電極表面処理(酸化およびイオンビームスパッタによる清浄化),電極表面分析および絶縁破壊試験が同一超高真空系内で行える実験装置を新たに準備し,Cu電極を用いて,真空中の絶縁破壊強度に対する電極表面の酸化の影響を調べた.このような同一超高真空系内で一貫した実験を行うことは,従来の研究には見られない斬新な手法である. 本研究により新たに明らかにされた知見は以下のようにまとめることができる. 1.電極表面には,酸化条件により,Cu_2OのみおよびCu_2OとCuOが混在することをXPSにより確認した.2.電極表面が酸化している場合でも,真空中で絶縁破壊を繰り返すことにより絶縁破壊電界が上昇するコンディショニング効果のあることが認められた.しかし,コンディショニングの程度は,清浄表面に比較して低いことが見出された. 3.絶縁破壊試験前後における電極表面のXPS分析から,絶縁破壊試験前には酸化されていた電極表面は,繰り返し絶縁破壊により清浄な表面状態に戻ることが明かになった.このことは,真空ギャップのコンディショニング効果の原因の一つが,繰り返し絶縁破壊による電極表面の清浄化であることを表している. 4.電圧を印加して最初に絶縁破壊が生ずるときの絶縁破壊強度は,電極表面の処理からは殆ど影響を受けないことも明らかとなった. これらの新たな知見は,本年3月に開催される電気学会全国大会において発表する予定である.
|
Research Products
(1 results)