1994 Fiscal Year Annual Research Report
水素化アモルファスシリコン薄膜の微結晶化温度の高精度測定法の開発
Project/Area Number |
05650312
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
本橋 光也 東京電機大学, 工学部, 助手 (60239580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安達 久美 東京電機大学, 工学部, 助手 (80231926)
本間 和明 東京電機大学, 工学部, 教授 (90057208)
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Keywords | アモルファスシリコン / 水素放出特性 / 結晶化温度 / 膜構造評価 |
Research Abstract |
水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)薄膜の微結晶化温度を,膜の水素放出特性から高精度に求めることを目的とし,本年度は,温度の測定条件の最適化およびこの温度と膜構造の関係について検討した。以下の1および2,3に研究結果を示す。 1.微結晶化温度の測定条件の最適化に関する検討 水素放出特性の測定条件としては,測定中の試料雰囲気の真空度が10^<-4>Pa,加熱速度は10〜15℃/min,質量数は2が適切であることが判った。また,測定データの処理ソフトを改善し,測定データを記録するだけではなく,波形の微積分および平滑化等を可能とし,詳細なデータ解析を可能とした。 2.水素放出特性に適した試料の検討 微結晶化温度を高精度に測定するためには,膜堆積基板として石英ガラスを用い,膜厚は約0.2〜1μm,膜の大きさは約10mm角が適切な試料であることが判った。この条件の試料を用い,上記1の測定条件を用いることによって,微結晶化温度が再現性よく高精度で求められることを確認した。 3.膜の微結晶化にともなう構造変化の検討 膜の微結晶化過程の膜作製条件依存性を,水素放出特性,X線回折および電気的特性等により検討した。その結果,膜の結晶化過程は,結晶化する際の活性化エネルギーの大きさに関係し,この活性化エネルギーは,膜作製時に膜中に存在する微結晶幼核の数と大きさと原子の移動のしやすさが強く関与していることが判明した。 以上より,本年度の当初の目的はほぼ達成されたものと思われる。また,本研究の測定法は、a-Si:H膜の微結晶化温度を高精度で測定することだけではなく,新たな膜構造評価法としても有効なものである。
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