1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
05650313
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
伊藤 彰義 日本大学, 理工学部, 教授 (60059962)
|
Keywords | 結晶化過程 / 鉄酸化物薄膜 / XAFS / XANES / 酸化物多層薄膜 / 磁性ガ-ネット / 垂直磁気異方性 |
Research Abstract |
酸化物人工格子膜を作製法としての、複数金属ターゲットを用いた交互反応性スパッタリング法を確立する基礎として代表的な磁性金属である鉄ターゲットを用い、鉄薄膜の酸化過程の検討を行った。アルゴン及び酵素の混合雰囲気中の反応性スパッタを行い、X線吸収微細構造(XAFS)測定のXANES領域により鉄酸化物薄膜の前駆体の構造を明らかにした。このXANES測定により、通常のX線回折では観測されない次のような結果を得た。酸素分圧4mTorrのときスピネルフェライトFe_3O_4およびγ-Fe_2O_3を主成分とし、10mTorrのときα-Fe_2O_3を主成分とするとする酸化膜が形成された。すなわち低酸素分圧の下では4面体と8面体の酸素多面体が混在し、酸素分圧が大きくなると8面体が主となる酸化物が、比較的短距離な秩序を構成し長距離的秩序には欠けている状態であることが判明した。これらの膜の熱処理による、構造及び電気伝導度の変化を測定した。抵抗率の熱処理依存性から薄膜の構造変化を推定することが出来た。また、熱処理を行わない場合の酸化膜の抵抗率の絶対値が、バルクのFe_3O_4のそれに比べて4桁も大きく、空孔や空格子の存在が予想された。 一方、現実の酸化物多層膜として、光磁気記録用Bi置換ガ-ネット多層膜の設計・製膜を行った。各層間の格子定数差による応力による垂直磁気異方性を発現するガ-ネット多層膜を提案し、その組成と層構成を設計した。ある組成のBi置換ガ-ネット膜の製膜に、BiFe酸化物、希土類と鉄の酸化物、の2元ターゲットにより交互スパッタし、それぞれのスパッタ時間の調整により所望の組成の膜が得られる条件を、各ターゲットからのスパッタ率を求めることにより実現した。各層間の格子定数差による応力を利用し、逆磁気歪み効果から垂直磁気異方性を大きくする膜の設計と多層膜の作製を試みた。この多層膜は熱処理により結晶化したが、層間の拡散が大きく格子定数の差が層間で作用しなかったため垂直磁化膜とはならなかった。今後更に層間の拡散を抑制する作製条件の探索が必要である。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] K.Hattori,H.Akimoto,T.Sugimoto,K.Nakagawa,and A.Itoh: "In-situ Measurement of Stress for Co Based Superlattices During Fabrication by RF Sputtering" Proc.of'93 MML. 126. (1993)
-
[Publications] Katsuji NAKAGAWA.: "MICROSTRUCTURE AND CRYSTALLIZATION MECHANISM OF Bi-SUBSTITUTED GARNET FILMS FORM-O RECORDING PREPARED BY PYROLYSIS AND SPUTTERING(Invited)" The Magnetics Society of Japan. 17-S1. 278-283 (1993)
-
[Publications] Kazuttoshi OHMORI,Akiyoshi ITOH,Katsuji NAKAGAWA: "RECURRENT PHOTOMAGNETIC EFFECT OF Co DOPED MAGNETIC GARNET FILMS" The Magnetics Society of Japan. 17-S1. 233-236 (1993)
-
[Publications] H.Akimoto,T.Sugimoto,K.Nakagawa,A.Itoh: "In-situ MEASUREMENT OF STRESS FOR Co/Pd MULTILAYER FILMS DURING FABRICATION BY RF-SPUTTERING" The Magnetics Society of Japan. 17-S1. 52-55 (1993)
-
[Publications] K.Ohmori,K.Nakagawa,and A.Itoh: "WAVELENGTH DEPENDENCE OF PHOTOMAGNETIC EFFECT IN Co-DOPED MAGNETIC GARNET FILMS" IEEE Trans,Mag.30-2. 775-777 (1994)
-
[Publications] A.Tsukamoto,K.Hattori,K.Nakagawa,and A.Itoh: "Uniaxial magnetic anisotropy in Co/Pd multilavers estimated by an in-situ stress measurement and a computer simulation" Jounal of MMM. (1995)