Research Abstract |
最終年度である平成4年度における研究は,研究計画に沿った形で行われ,以下のような研究成果を得た. (1)動的凸包算法の開発と高速化: 凸多面体リヤプノフ関数の構成という問題に限定すると,凸多面体の情報として,凸多面体の端点の集合,ファセットの集合,ファセットの法線ベクトルが得られれば,十分であり,Beneath-Beyond法のように全てのフェイスの情報は必ずしも,必要でないことに注目し,新たに双対な凸多面体という概念を導入し,端点の集合だけを更新するだけでなく,ファセット等の情報を得ることもできる線形計画問題としての定式化について検討し,Beneath-Beyond法よりも必要とする記憶容量が少なく且つ高速な動的凸包算法を考案した.また,そのインプリメントも行った. (2)制御則の設計法の確立: 主に可変構造システムの制御器の設計問題について研究を行い,凸多面体リヤプノフ関数を用いたスライディングモード制御におけるチャタリングを解消する制御則の設計法を考案した.また,外乱がある場合についても,どの程度の外乱であれば,外乱を抑制でき,外乱によるオフセットをどの程度に押さえられるかということも理論的に明らかにした. (3)ロバスト安定なシステムの計算機援用解析・設計システムの開発: 昨年度と今年度に得られた成果を元に計算機援用システムの開発を行った.対象とするシステムの特性を与えるプログラムを作成し,それを開発した汎用部分のプログラムとリンクするという方法を取れば,かなり一般的なシステムを対象とできるシステムは開発できた.さらに,対象とするシステムの特性をテキストファイルとして記述し,それを読み込むことによって処理するシステムへの改良も試みたが,時間の都合で非線形特性の記述の際に必要な論理判断による分岐を制御する部分が完成できなかった. 得られた結果は,電子情報通信学会回路とシステム研究会,情報処理学会アルゴリズム研究会,システム制御情報学会研究発表講演会などで,発表を行うと共に,システム制御情報論文誌などで論文として公表した.また,一部の成果は,現在,国際会議ECC'95,IECON'95等に投稿中である.
|