1993 Fiscal Year Annual Research Report
伝達関数の多点同時模擬による音空間制御に関する研究
Project/Area Number |
05650374
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 陽一 東北大学, 電気通信研究所, 助教授 (20143034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高根 昭一 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (90236240)
浅野 太 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (00231895)
小澤 賢司 東北大学, 電気通信研究所, 助手 (30204192)
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Keywords | 頭部伝達関数 / 伝達関数合成 / 伝達関数模擬 / 最小2乗法 / 多点制御 / 音空間 / 音圧傾度 / 音像定位 |
Research Abstract |
人間の聴覚系では,両耳の相互作用によって,いわゆる3次元音空間の知覚が可能である.この3次元音空間の知覚を制御して,3次元音場再生を精度良く行うためには,音源から外耳道入口までの伝達関数,すなわち頭部伝達関数を高精度に合成する必要はある。 これまで,頭部伝達関数の合成にあたっては,受聴者の両耳の位置2点の音圧を対象するという手法が広く用いられてきた.しかし,この方法では,受聴者が1名に限られる他,受聴者の頭部がわずかに動いただけで,伝達関数の模擬精度が大幅に低下するという問題があり,実用化に至っていなかった. そこで本研究では,単に両耳の外耳道入口2点だけではなく,頭部の移動を考慮して,頭部周辺の多数点の伝達関数を同時に最小2乗的に模擬するという新しい手法について検討した.実験では,最大5個の音源を用いて,外耳のまわりの5点の音圧の模擬を行った.その結果,外耳道入口の1点だけの音圧を模擬した場合に比較して,伝達関数が精度良く合成されている領域(合成誤差-10dB以下)の大きさが大幅に拡大することを明らかにした.また,音圧ばかりではなく,音圧傾度の合成についても検討を行い,全く同じ定式化によって合成を行うことができることを示した. これらの結果は,学会の複数の研究発表会で口答発表を行った他,日本音響学会誌の英文誌に掲載されている。本研究により,頭部の移動に強く,また複数の受聴者にも対応し得る,これまでにない高精度の音空間制御手法の実現化に向けて大きな進展があったと考えている.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 阿部 一任: "音場の多点制御における制御用スピーカ配置の影響" 日本音響学会研究発表会講演論文集. 1993年3月. 489-490 (1993)
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[Publications] 阿部 一任: "頭部の位置ずれを考慮した頭部伝達関数模擬手法における音源位置の影響について" 電気情報通信学会技術報告. EA93-4. 21-28 (1993)
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[Publications] 阿部 一任: "頭部の移動を考慮した頭部伝達関数模擬における音源位置の影響について" 電気関係学会東北支部大会講演論文集. 220 (1993)
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[Publications] 阿部 一任: "音場の多点制御における音源数と模擬領域の関係について" 日本音響学会研究発表会講演論文集. 1993年10月. 487-488 (1993)
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[Publications] Kazutaka Abe: "A method for simulating the HRTF's considering head movement of listeners" The Journal of the Acoustical Society of Japan(E). Vol.15-2. 117-119 (1994)