Research Abstract |
前年度までの研究によって,フィルム,薄板状試料の音速を測定するシステムの機械系の部分がほぼであきがった.本年度はさらに,電気系の一層の改良を行った.まず,これまでのシステムでは,超音波の送波に用いるバースト波電圧をスイッチング行う方式を用いていたが,これを,ファンクションディジタルシンセサイザーを用いる方式に変更した.この結果,駆動用のバースト波電圧と1つづつ入力のon-off比を80dB以上に改善できた.また,周波数確度も10μHzと高く,しかも出力電圧も10V_<p-p>と大きくとれるようになった.さらに,任意波形出力機能を利用することによって,様々な電圧波形で超音波変換器を駆動でき,測定条件にあった駆動が可能となった.また,システムをオンライン化し,送受波レベル測定,波形の取り込みの自動化及び音速,厚さの計算の自動化をはかった. 一方,音響系に関しては,測定周波数の広帯域化をはかるため,中心周波数の異なる数種類超音波変換器を製作することにより,数十kHz波30MHzまでの超音波の送受が可能となった. これらの改善の結果,送受波信号の振幅安定度が大幅に改善でき,S/Nの向上により音圧透過率,反射率の測定精度が向上した.また,本システムを用いることにより,これまで手製の装置を数種類組み合わせてシステムが大幅に簡易化され,製造現場での計測にも利用できるめどをつけることができた.さらに,本システムを固体試料だけでなく種々の液体試料にも適用できるようにし,測定に必要な試料の量を0.1cc以下にすることができた.これにより,試料の音速や厚さなどの計測のみならず非破壊検査のの分野にも活用できるようになった.
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