1993 Fiscal Year Annual Research Report
ウェーブレット変換理論に基づくシステム解析・設計手法の開発
Project/Area Number |
05650394
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
前田 肇 大阪大学, 工学部, 教授 (60029535)
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Keywords | ウェーブレット変換 / スカログラム / ウィグナーヴィル分布 / 同定 |
Research Abstract |
1.本研究は制御システムの解析・設計にウェーブレット変換理論を導入しようとするものである。従来、信号変換としてフーリエ変換が主に用いられてきたので、両者の関係を知ることは大事である。そこで、ウェーブレット変換の性質のうち、とくにシステム制御理論分野で有用と考えられるいくつかの性質を新規に導出するとともに、ウェーブレット変換全体からなる関数クラスの特徴付けを行った。これらの結果をまとめて、学会誌で公表した。 2.インパルス応答から背後にある線形システムを推定する問題は、制御工学において基本的である。この同定問題にウェーブレット変換を利用することは、雑音と信号の分離を言う面から有効であることを数値例で明かにした。理論的に検討するには、ウェーブレット変換に対するエネルギー分布的な解釈を確立することが不可避であり、これについて検討した。本年度忠中に部分的な解答を得ることができたので、成果を一部学会誌で公表した。 3.雑音を考慮した同定問題を数学的にきっちりと定式化するためには、ランダム過程のウェーブレット変換について基礎から調べる必要のあることが明かとなった。弱定常性、自己相関関数、パワースペクトルなどの基礎概念が、ウェーブレット変換ではどのように変更されるべきかを現在検討中である。 4.ウェーブレット変換を実用的に用いるには、基本ウェーブレット関数の選定問題が解決されなければならない。逆ウェーブレット変換を行う際に混入する外乱の影響を最小とする最適化問題を定式化し、その最適解として基本ウェーブレット関数を定めることを考えている。
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