1993 Fiscal Year Annual Research Report
高機能トルクセンサのための新方式薄形検出素子の研究
Project/Area Number |
05650408
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
笹田 一郎 九州大学, 工学部, 助教授 (20117120)
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Keywords | トルクセンサ / 磁わい効果 / 磁気ヘッド / フェライト基板 / 平面コイル |
Research Abstract |
本研究で購入した超音波加工機により、高周波用MnZn薄型フェライト基板(基板厚12mm)から十字形溝を付けた磁心を切り出し、これに被服銅線で作った1対の直交させた8の字形平面コイル(1次コイル20ターン、2次コイル10ターン)を埋め込み、さらに含浸して検出コイルを製作した(実施計画1.1および1.2)。検出ヘッドのトルク伝達軸に対向する磁極面は、1.3mm程度の空隙を介し軸側面に添うよう曲率を与えた。これによって、励磁力が大きく(L=0.16mH)損失の小さな(20kHzでQ=5.8、60kHzでQ=7.4)検出ヘッドを作製できた。 軸材として一般的な炭素鋼(S45C材)およびニッケルクロムモリブデン鋼(SNCM420、616材)に対し、機械強度を増すための熱処理として一般的な浸炭焼入れや高周波焼き入れを施して25mm径の試験軸を多数作製した(実施計画2)。空隙を1.3mmとして、印加トルク±500Nmレンジで種々の励磁条件(励磁周波数20kHz〜100kHz、励磁電流50mA〜600mA)に対して基礎特性を調べた結果、表面硬度ロックウエルC硬度で62と大きいにも拘わらずトルク検出が可能であることがわかった。60kHz、200mAの励磁条件でSNCM616に対し、感度12muV/Nmヒステリシス誤差3%/FSが得られた。この時の消費電力は約0.3Wに過ぎなかった。他の軸に対しても上記に対し約40%低いが十分な出力が得られた。この実験から、8の字形平面コイルを十字の溝を持つ薄形フェライト磁心に埋め込んで鋼損を抑制し、励磁能力を高めることによって、広範な実用鋼軸からトルク検出が可能なことが実証できた。好ましい励磁条件は、40kHz〜80kHz、50mA〜400mAの比較的広い範囲であることがわかった。(実施計画3)。
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[Publications] I.Sasada: "A New Thin Pickup Coil for Magnetic Head Type Torque Sensors" IEEE Trans Magnetics. 29-6. 3186-3188 (1993)
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[Publications] 笹田一郎: "十字形平面磁気ヘッドによるトルクセンサー相互誘導変調を利用する薄形検出素子" 電気学会マグネティックス研究会資料. MAG-93-144. 113-120 (1993)
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[Publications] 笹田一郎: "磁歪式トルクセンサのための改良された十字形平面磁気ヘッド" 同上. MAG-94-17(印刷中). 6 (1994)